映画/アニメ
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最近の日本には、相対的な価値観が蔓延してると思う。

「俺は良くないと思うけど、まぁ、その人が良いと思ってるんなら良いんじゃない?」みたいな、何かを失うことを恐れて全ての価値を相対化する風潮。

そんな時代だからこそ観るべき映画。

ナチスのユダヤ人虐殺を実行したアイヒマンの裁判を論評した、同じユダヤ人の主人公ハンナ・アーレントにまつわる顛末。

この裁判自体、東京裁判なみに公平性の無い見せしめ裁判なので、日本人としての自分は論じる価値は無いと思うんだけど、ユダヤ人の感情的回復を図るには重要な「儀式」だったんだとは思う。

そこに一石を投じたのが哲学者のハンナ・アーレント。

アイヒマンは官僚としての立場で機械的に虐殺命令を実行しただけで、そこに意志は無かった。悪いのは実行したアイヒマンではない、というのが彼女の主張。

彼女の言う「悪の凡庸さ」。
この恐ろしさを理解できるかどうかが、この作品を観る上での鍵。

今現在仕事をしていても感じる、官僚的な組織(会社)の思考停止状態。個人的な良心はあっても役に立たない。集合としての意志というのか、合成の誤謬とい うのか、誰も望まないのに何故か全体として悪い方向へ進んでしまう。別に当時のドイツ人が特別だったわけじゃなく、人間の組織であればどこでもどんな時代 でも起こりえる話。だからこそ恐ろしい。

そして、よくどこかの政治家が言う「絶対的な悪」など、くだらない宗教(空想)上の概念でしかない、ということが、この作品観るとよくわかる。

身の回りの友人関係を失ってでも真実を追求する、という哲学者としての彼女の姿勢に共感&感動する。
(・・作中のハンスとは後に和解したらしいけど。)

それこそが絶対的な価値だな、と私は作品を観て思った。

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園子温監督作品。

1997年にこの作品の舞台ともなっている渋谷区円山町で起こった「東電OL殺人事件」をモチーフにしてるらしいが、あくまでモチーフで特に関連も無いし、ドキュメンタリー映画でも無い。

ストーリーは、殺人事件の解決が縦軸ではあるんだけど、そこの解決とか犯人は正直どうでも良くて、描かれているテーマとしては、「女性の性」、だと思う。言葉にできない身体が感じる「欲望」としての性。なので、作品通してエロス感が半端無い。しかし、裸やセックスシーンがスゴい、というのももちろんあるんだけど、言葉で表現できない以上、身体でそれを表現するしかない。だからこそのこの表現なんだろうな、と思う。それこそが、映像化=映画の醍醐味でもあるわけだし。

この映画では、下品の極みに落ちた女と、貞淑な妻から底へ落ちて行く女、そして、落ちかかっている女、という女性3人が対照的に描かれている。

富樫真、神楽坂恵、水野美紀という3人の女優が演じているが、やはり圧巻は富樫真。ほんとスゴい。
この作品の主人公は水野美紀演じる和子、という設定みたいだけど、どう考えても富樫真演じる尾沢美津子が主人公だ。これ以上書くとネタバラしになるから、ここまでに留めておくけども。。

カフカの「城」も題材として登場する。
どこまで行っても辿り着けない城。「女性の性」の暗喩なんだろう。落ちても落ちても「城」には辿り着けない。どこまで落ちても、登場人物の女性達は満足していないし、もちろん「幸せ」も掴めない。

男性の性も若干作中で扱ってはいるけれど、女性のそれに比べて、何とも底が浅い。
自分が男だから余計そう感じるのかもしれない。暴力的で、くだらないフェティシズム。哲学的な意味も無い。

最後の水野美紀扮する和子の台詞が印象的。

「今どこにいる?」「わからん」

他2人の登場人物は底まで落ちて行き着くところまで辿り着いたって感じだが、この和子はまだその途中。とりあえず「城」が見えるところまでは来た。ここがどこなのか?自分はどの位置まで落ちているのか?それが本人もわかっていない。だから「わからん」と答えた。

この先、「城」へ入って落ち続けるかどうかは本人次第。

これが園監督が伝えたいメッセージなのかな?と自分は感じた。

不倫は、おそらく男女問わずかなり多くの人が行っている行為ではあるが、「性」という欲望に身を委ねても果てしなく落ちていくだけ。「城」が見えるくらいのところで止めておけ。そういうメッセージなんじゃないだろうか。

だからこそ、タイトルが「恋の罪(Guilty of Romance)」なんだろう。「愛の罪」じゃなく。

たしかに、ロマンスを求めた果ての顛末ではある。3人とも。

色々と考えさせられた映画。
で、観終わった後に、なんか圧倒されてちょっと気持ち悪かった。酔ったというか。。。
こういう気分を感じる映画は久しぶり。

さすがです。園子温。

 

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攻殻機動隊の新作。

押井守監督の「Ghost in the shell」「イノセンス」、神山健治監督の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」を経て、4つ目の攻殻機動隊のストーリーということになる。

監督は黄瀬和哉氏。作品は観たこと無い。

私は、神山監督の練りに練ったストーリーを展開してくれるSACシリーズが大好きなので、今回の作品はちょっと違和感があった。何で神山さんが続編作ってくれないんだろう?って。続編作るという噂も一時期聞かれたけど、結局、神山さんは石ノ森章太郎氏の「サーボーグ009」の新作を制作することを選び、昨年劇場公開された。で、この「009 RE:CYBORG」は大変素晴らしい作品だった。さすがと言うべきクオリティ。 ⇒ 続きを読む

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「エヴァンゲリオン」劇場版の新作「Q」。

映画の公開は2012年11月17日で、もちろん当日映画館に観に行った。
で、あまりの展開に頭が付いていけず、正直ストーリーの評価とかまともに出来なかった。

ようやくDVDが発売開始されたので、どんなストーリーだったかちゃんとおさらいするために、今回DVD借りて改めて観たわけだ。

なんだけど。。。

改めて観ると、「なんじゃ?これ?」って感じ(笑)

というのも、ストーリーがもはや1本道しか残されていないように感じる。
どこに向かって進もうとしてるだろ、この作品? ⇒ 続きを読む

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神山健治監督の最新作。

映画公開は去年2012年の末頃で、映画観に行ったんだけど、そのときはブログに書くの忘れてた。

で、2013年5月22日にようやくDVDレンタル(発売)開始されたので、改めて借りて観た感想をさくっとまとめとこうと思う。

まぁ、観終わった直後の素直な感想としては、ひとこと。
「難解」ということ。

神山監督の作品は、「攻殻機動隊 S.A.C.」「攻殻機動隊 S.A.C.2」の2シリーズと「攻殻機動隊 Solid State Society」の特別編、アニメ版の「精霊の守り人」、アニメ版&劇場版「東のエデン」と、それぞれ観てきた。

この人の作品のテーマは結構一貫してるように思う。

「人としての強さ」というのは共通してるテーマだと思う。また、「攻殻機動隊」で扱っている「集団的集合無意識」は、今回の「009 RE:CYBORG」でも扱っているテーマの1つ。それを突き詰めたモノが、本作品の「神(彼)」という概念、と言って良いと思う。 ⇒ 続きを読む