「ヘルタースケルター」

蜷川実花監督の「ヘルタースケルター」。

ヘルタースケルターは「しっちゃかめっちゃか」って意味らしい。造語かな?作中でそう説明される。まぁ、たしかに観終わって感想言うと、「しっちゃかめっちゃか」ってことになる。

とにかくこの作品、最初から最後まで主演の「沢尻エリカ」一色。

彼女の魅力無くして、この映画は語れない。

ただし、監督の力量もスゴい。
「沢尻エリカ」という素材を、あれだけ作中で美しく表現して魅せられるのは、女性の監督ならでは。男の監督では無理。蜷川実花監督の作品って初めて観たんだけど、色鮮やかに魅せる作品であれば、スゴくハマる監督さんなんだろうなー。そういえば「さくらん」まだ観てないから、今度観てみるかな?

で、あえて「色鮮やかに魅せる作品であれば」と限定したのは、正直ストーリーはほとんど印象に残らなかったから。たぶん1年後には忘れてると思う。というのも、ストーリー破綻してる気がするので。

この作品、中盤までは、「美への欲求」って際限が無い、そんなの追求しても意味ない、というような、現代女性が何かと「美しさ」を求めることへのアンチテーゼなのかと思ってた。けど、最後おや?って終わり方する。

観てる間、どういう結末になるかずーっと考えてた。どう考えても、沢尻エリカ扮する「リリコ」は、印象的な死を迎えるくらいしか無いか・・と思ってた。しかし、ネタバレしてしまうが、最後死なない。観てたときは死んだ、と思ったんだけど(笑)それどころか、中国のおそらく上海辺りで怪しげなお店開いて、そこで変わらない美しさで最後登場する。

それで、ちょっと拍子抜け。
いや、そこで美しさが失われてないんであれば、途中のすったもんだはなんだったのよ?整形に失敗して、皮膚が黒くなり、美しさが失われるって設定じゃなかったの?あの薬、おそらく抗生物質だと思うけど、あれもそのために飲んでたんでしょ?

なので、最後わかった。
この作品はストーリーはどうでもいい。整合性なんか取れてなくったっていい。単に監督は、「沢尻エリカ」という旬な素材を使って、「印象」に残る「絵」を撮りたかっただけなんだな、って。

そういう意味では、その意図は成功してる。
途中モデルとして映される「リリコ」は、本当に輝くばかりに美しかった。たぶん「沢尻エリカ」本人も、今の年代の若さでしか出せない美しさなんだろうと思う。そういったシーンはスゴく頭に残ってる。

あとは原色。特に「赤色」。
「白」も印象に残ったけど、それは「赤」を引き立てるために「白」だろう。部屋の色や口紅、最後の服も赤だったし。そういった印象は、たぶん頭に残って長いこと消えないと思う。

たまーにそういう作品に出会う。ストーリーはすぐに忘れるけど、印象的なシーン、というか「絵」だけ頭に残る作品。女の監督の作品に多い気がする。この作品もそう。

まぁ、けど、結構面白かったかな。
桃井かおりもいい味出してたし。

しかし、執拗なくらいの「濡れ場=SEXシーン」だった。
あれって必要だったかな?美しさを引き立たせる演出だったのかもしれんけど。冒頭のシーンから、かなりマジな濡れ場だったので、ちょっと引いちゃったんだよな。。観終わった後で改めて考えると、ストーリー上そこまでの濡れ場は必要ないと思ったし。

まぁ、上で書いたように、印象に残ればオッケーってことであれば、ストーリーの筋は関係ないか。。この映画はそういう見方しちゃダメだね。

映画館のお客さんは、女の人が圧倒的に多かった。
エリカ様の奔放な生き方に憧れる人が多いのかしら?それはそれで興味深かった。いずれにせよ、たしかに女の人が観た方が楽しめる映画です。

沢尻エリカの今を観たい方は、ぜひ映画館へ。

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