荘司雅彦氏の著書。
この人の本は以前「反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力」を読んだことがあるな。弁護士という職業柄身につけた知識を著書で伝える執筆活動をされているみたい。
今回は「13歳」とタイトルにもある通り、法律について子供向けに書かれた本。
裁判員裁判が一昨年に始まり、小中高の学習指導要領に「法律科目」が入るようになったらしいので、なおさら子供向けに書こうという動機が生まれたんだと推察される。まぁ、タイトルは狙いすぎだとは思うけど(笑)
さて、内容だが、とりあえず目次を。
はじめに
第1章 法律って本当に必要なんだろうか?
第2章 ぼくの正義、君の正義、みんなの正義
第3章 なぜ人を殺してはいけないのか
1 殺人について考える
2 死刑について考える
3 刑罰について考える
第4章 自由と民主主義の微妙な関係
第5章 権利を実現するのは大変だ!
第6章 法律を読んで頭を鍛える
1 憲法の枠組みについて知っておく
2 条文と判例について読んでみる
3 法的三段論法を理解する
第7章 日本人は裁判が苦手?
あとがき – 13歳の君と、かつて13歳だった大人の皆様へ
文章は平易に子供向けに書かれているが、内容は割と濃いように思う。
「自由権」「基本的人権」「私有財産権」「社会契約論」など基礎から始まり、流行りの「正義」についても述べている。アリストテレスの「一般的正義」と「特殊的正義(さらに強制的正義/分配的正義に分かれる)」、ベンサムの「功利主義」、ジョン・ロールズの「正義論」など、最後は著者の私見が述べられているが、一応読者である若い人達に自分で「正義」について考えるような構成にはなっている。若干、著者の考えを押し付けてるような印象は受けたが。。
これからの時代には、「多様な価値観を尊重する公平無私なバランス感覚」が必要という結論は同感した。
その他、死刑制度についてや、「権利の上に眠る者は保護せず」という原則、憲法/民法/刑法/商法/民事訴訟法/刑事訴訟法の「六法」、簡単な法律の読み方、最後の章では、ローマ法を継承した「大陸法」/ゲルマン法の影響を受けた「英米法」/東アジアの「徳治主義」の対比なども簡単に説明されていた。
広く薄く法律を学ぶには良い本かしら??
学生には少しハードル高そうな気もするが。
出来れば、最近問題が明るみになってきている「検察」の問題や、現在の司法制度の問題点についても、子供達に未来を託すという目的で書いているのであれば、もう1歩踏み込んで書いてもらいたかったとは思う。
まぁ、新書でこの内容であれば、割と満足感あるかな。
これから一から法律学びたい人であれば、オススメできます。