反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力

荘司雅彦さんの著書。

著者は昔弁護士をされていて、現在は大学の教授をされているとのこと。

弁護士の経験から、法廷での嘘を見破る質問の仕方などの方法論を、一冊の本としてまとめたのが本書。

左の画像には載ってないが、販売されてる本の帯を見ると、「必ず相手を落とす弁護士の危険なテクニック!」というコピーが載っている。
…が、ちょっとこの帯、どうかと思う。。著者は本書で必ず落とせるとは言ってない。

キャッチーなコピーを載せたいのは商売上の理由と一定の理解は出来るが、こういうことする出版社ってはっきり言って信用できない。今後購入しようと言う気がなくなる。

本書の内容に触れる前に、とりあえずそれだけは書いておきたい。

さて、本の目次は以下の通り。

第1章 華麗なる芸術、反対尋問
1 反対尋問を駆使して嘘を見破る
2 リンカーンが用いた危険な技法
3 反対尋問の技術をビジネスで活用する

第2章 人間の記憶は実にいいかげん!
1 むやみに「嘘つき」呼ばわりすることの危険性
2 人間の記憶のいいかげんさ
3 人間は「主観的」には真実を述べる
4 人間は嘘をつくことが苦手!?
5 記憶違いや、思い込みへの対処法

第3章 悪意で嘘をついている相手に対して
1 記憶違いか嘘つきか?
2 身体に現れる「嘘」を見破る
3 相手の嘘を見破る5つの方法

第4章 女性は男性よりはるかに嘘が上手
1 男性の嘘、女性の嘘
2 女性の嘘に対する対抗策
3 1対1での交渉には勝ち目なし

第5章 専門家に太刀打ちするためには
1 専門領域では準備なしに議論しない
2 謙虚な姿勢で情報を引き出す
3 専門化への報酬はどうする?

第6章 法律家の論理
1 法律家の論理学
2 荘司流法律論の立て方
3 ビジネスや社会生活への応用
4 嘘を論破するときも法律家的論理力は有効

第7章 嘘の事例とその対処法
1 理路整然たる説明
2 ハッタリ作戦
3 不利なことを言う人は正直か?
4 ひとつのことに「こだわる」人
5 余分なことには真実が多い

この本で一番良いメッセージだと思ったのが、人は本質的に嘘を付きづらい(付き続けるのが難しい)存在だ、ということ。

また、悪意ある嘘は論外として、自分が嘘を付いてるつもりが全く無い、「思い込み」「思い違い」による嘘に関しては、あまり追いつめたりせず、優しく諭すくらいで良い。

そういう著者の優しさは感じられたのだが、それ以外で、読んでてそんなにタメになる内容が無かった気がする。。

弁護士というのは、戦うフィールドが用意されている。
公的な場所で、しかも、裁判官というレフェリー付きで。

しかし、敵もさるもの、嘘を付いたら罪が重くなるような場所でさえ、確信的に嘘を付く人は居るだろう。。そんな人の嘘を技術的/心理的な要素を駆使しながらどう見破るのか??そういった唸るようなテクニックが少しは書いてあるのかと期待したのだが、かなり簡素な内容で、目から鱗が落ちるようなコトは1つも載っていない。。

テクニックを知りたい人であれば、第三章の2「身体に現れる「嘘」を見破る」と、3「相手の嘘を見破る5つの方法」だけ読めば済んでしまう。

うーーん、正直言って、この内容で1500円は高すぎるぞ。。
新書で700〜800円くらいが妥当な値段。

ちょっと買って損した。
読後にこういう感想を抱く本を読んだのは久しぶり。。

Amazonの書評とか読むとそれなりに評価は高いのだが。
まぁ、当然人によって読んだ感想は違う。。

余計なお世話なのは重々承知だが、購入を考えている方は、本屋である程度立ち読みしてからの方が良いんじゃないかと、ご忠告申し上げる。

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