陰陽道とは何か

戸矢学氏の著書。
タイトル通り、陰陽道について基本的な知識を得たいと思って手に取った本。

陰陽道とは、中国から輸入した陰陽五行説に、日本古来の古神道をブレンドしたものらしい。数年前映画になった「陰陽師・安部清明」などのイメージあるので、「呪術的側面」ばかり協調されがちだが、「科学的側面」もある。サイエンス+オカルト=陰陽道、というわけか。。しかし、その思想は日本の風習の至るところに痕跡を残している。日本の歴史学ぶ上でも、陰陽道を知ってると様々な目に見えないつながりが見えてくるので面白い。

さて、まずは本書の目次から。

第1章 陰陽師―「人」
第2章 原理―「思想」
第3章 聖地・霊跡―「施設」
第4章 祭儀―「儀式・制度」
第5章 聖典―「経典」
第6章 呪術―「技法」
第7章 鑑定実践―「占」

この中で重要なのは、やはり第2章の「思想」。ここで陰陽道の基礎知識を得られる。私としてはこの章だけ読めば目的は果たせる。

ただ、第1章で紹介されてる安部清明、天武天皇、天海などは興味深い。昔の日本では為政者にとって陰陽道を扱える人がかなり重宝されていたんだなー、と想像できる。役小角(えんのおづぬ)なんて懐かしい名前も出てきた。学生の頃「宇宙皇子(うつのみこ)」読んでたなぁ、そう言えば。結局、最後まで読んでないけど(笑)

で、陰陽道の「思想」だが、「陰陽論(いんようろん)」と「五行説」に分かれる。

「陰陽」は、左のシンボライズした「太極」が有名。

日陰と日当たり、夜と昼、日輪と月輪、これは寒暖や黒白などに敷衍されて、万物を構成するのは対置する2つの要素であるという「二元論」に至る。「太極」も元々は夜昼の変化を図解したものらしい。

【太極】を原点に、
「陰」と「陽」の【両儀】、
「太陽(陽の中の陽)」「小陰(陽の中の陰)」「小陽(陰の中の陽)」「太陰(陰の中の陰)」の【四象(しぞう)】、
「乾(けん)」「兌(だ)」「離(り)」「震(しん)」「巽(そん)」「坎(かん)」「艮(ごん)」「坤(こん)」の【八卦】と分かれる。

これが「陰陽八卦」の基本、易者などはさらに細分化された「六十四卦」を使うらしい。

八卦は方位や年月日にも配当し、それぞれ意味を象徴している。「陰陽」から始まり、多様な表情を見せている。

一方、五行は、「木・火・土・金・水(もく・か・ど・ごん・すい)」の5元素が中心で、「相性(そうじょう)・相剋(そうこく)」の力学構造を持っている。

図を見れば一目瞭然だが、

「木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ずる」

また、

「木は土に剋ち、土は水に剋ち、水は火に剋ち、火は金に剋ち、金は木に剋つ」

という関係性が、「五行相性相剋法」の考え方。東洋で生まれたこの考え方が、西洋の「黄金比」につながる五芒星になってるのがまた興味深い。

この五行は森羅万象の象徴、すべての要素・元素の基準となる。その中の代表的なものが「五行配当表」。

この配当表を見ると、色や方位、惑星、人の体のパーツや内臓など、さまざまな事象が「五行」に割り当てられている。「蒼・朱・黄・白・黒」の五色が揃った料理は「完全食」と考えられ、おせち料理や懐石料理など日本古来の料理はこの考え方を取り入れている。いやー、面白いわ!!!

「陰陽×五行」により、宇宙の成り立ちから大自然の循環、国家の統治法、人体の構造、医学・栄養学・心理学・倫理学に至るまで、解明解説が可能。日本の陰陽道はこれをさらに発展させた。

天の相(天文相)を見れば、その影響で地において起きる事象の予測がつく。
地の相(地理相)を見れば、その影響による生活、社会などの変化の予測がつく。
家の相(家相)は地の相が限定されたもの(家相=「艮(ごん)」「坤(こん)」の鬼門ベクトルとのこと)。
人の相(人相)は、地相家相の影響を受け、天の相の影響のもとにある。

この天・地・人(+家・墓)の相を連動としてとらえる。
これが「陰陽道」である。

個人的に「思想」を学ぶのが目的だったので、まとめは「思想」のみとする。
陰陽道の宇宙観である「天円地方」や「鬼門」も紹介されているので、この辺りは実際本読んでもらいたい。
相撲などにも陰陽道の考え方は取り入れられており、紹介されてる例を読むだけで、本当に日本国内の様々な事象に影響を与えた考え方なんだと痛感する。

そういえば、そろそろ節分の季節だが、街に「恵方巻き」の文字をよく見かけるようになった。この「恵方」も陰陽道独自の考え方。その年の良い運気の方位方角とのこと。太巻き寿司をその恵方に向かって食べると、その年の「福」を呼びらしい。(何と、現在の職場がある「大阪・船場」がこの風習の発祥地らしい。ふーーむ。。)

とりあえず陰陽道の初歩を学んだ。
すごく面白かったので、機会があればもっと深堀してみようと思う。

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