言わずと知れたバットマンの悪役「ジョーカー」 。
このジョーカーの誕生譚。

監督はトッド・フィリップス、主演はホアキン・フェニックス。

以前、同じくジョーカーが主役の映画「ダークナイト」を観たことがあった。
作品公開後に夭折してしまったヒース・レジャー演じるジョーカーも素晴らしい演技だったけど、今回のホアキン・フェニックス演じるジョーカーは、それに負けず劣らず素晴らしい。

特に、あの笑い方はなかなかマネできない。
引き笑いのような声は、笑っているようにも泣いているようにも聞こえる。
まさに怪演。
この映画が評価高いのも納得である。

さて、ストーリーについてだが、話としては結構単純。
先天的に笑い病とも言える病気に悩まされる主人公のアーサー・フレック(ジョーカー)が、売れないコメディアンを続けながらも慎ましく生きていたところ、様々な不幸が重なり、闇に落ちていく。

この不幸がまた1つ1つ重い。

最初に不良に襲われるのも気の毒としか言えないし、電車内で銃を使って3人を射殺するのもある意味正当防衛とも言える。しかし、殺人を犯してから、徐々に不幸度が上がっていく。出生の秘密を知ってしまってから、さらに恋人だと思ってた人との関係性が実は妄想だとわかり、さらに自分の舞台がTVで流れ晒しものになってしまう。

最初、アーサーは社会(法)の枠に何とか納まろうともがいていた。
しかし、一度殺人を犯してから、徐々に狂気が増していく。そして、最後は社会の外へ飛び出し、心が解放されてジョーカーとなる。ジョーカーとなった後に、階段で踊っている姿はまさに解き放たれた姿そのもの。

そして、ラストへつながる。

前作のダークナイトでも感じたが、バットマンシリーズの登場人物は、アベンジャーズのような特殊能力を持ったヒーローではない。バットマンも結構普通の人間だし、ジョーカーも今作最後に車の事故でかなりダメージ受けてた。

おそらく、この設定が良いのだろう。
空飛んだり、敵をなぎ倒すようなヒーローものだと、ここまで悪役に共感はできない。1人のちっぽけな人間が、普通の人が感じる苦悩を通じて悪に染まっていくからこそ、その悪の姿に共鳴する。

そして、舞台となるゴッサムシティは、現在の「格差問題」を象徴している。
アメリカはそれほど詳しくないが、舞台は1970年代のニューヨークのサウスブロンクスあたりがゴッサムシティのモデルではないだろうか?
当時は相当な貧困街で、犯罪も多発していた超危険地域だったらしい。

映画を観てる人は、裕福な人が没落して、悪という形にしろ貧しい人が台頭していく姿にカタルシスを覚える。現在のアメリカ・・いや、日本含めて全世界でヒットするわけだ。それくらい全世界で格差が広がっている。私も、最初はいたたまれなくて観てるの辛かったけど、途中からだんだんとジョーカーに同調するようになったもんな。。。

それに、ジョーカー=「悪」と簡単な図式に落とし込むのは正しくない。

私はバットマンシリーズはダークナイト以外は観ていないので、鑑賞中は全く気付かず映画観終わった後で知ったのだが、最後暴徒に殺されるトーマス・ウェインの息子であるブルース・ウェインが、後のバットマンらしい。
最後のシーンでこの息子がやけにクローズアップされてたので「何でだろ?」と思ってたけど、なるほど、そういう理由だったのか。

ただ、このブルース・ウェインは、明らかにバットマン=「善」という描き方をされていない。これは「ダークナイト」に繋がる伏線なのだろうか?
つまり、この「ジョーカー」は「ダークナイト」と一緒に観て完結する作品なのだろう。

いずれにせよ、久々に良いハリウッド映画を観た。

我々の社会を維持するためには、ジョーカーは「悪」である必要がある。
しかし、そんな「建前」が通用しないほど、世の中に不満が溜まってきている。
その1つの現象が、この映画「ジョーカー」のヒットに隠されている。
単純な「善悪」の話ではなく、不幸で狂気的な男の誕生秘話ってだけでもない。評価が高いのは、ホアキン・フェニックスの怪演だけが理由ではないはずだ。

その背景をしっかり読み解くべきだ。

森達也監督の作品。

東京新聞に勤める1ジャーナリストである、望月衣塑子さんに密着したドキュメンタリー。

監督もこの作品の中で語っているが、「なぜこの人を撮っているのだろう?」という疑問が、この作品のすべてを表しているように思える。

望月さんは何もおかしなことはやっていない。
自分で取材して事実を調査し、疑問に思ったことを官邸記者会見の場で官房長官にぶつけているだけである。

それだけなのに、官邸からは嫌がらせを受け、特別ルールを設けられて質問数を少なくさせられてしまう。菅官房長官もまともに答える気がない。
(余談だが、こんな人間が「令和おじさん」として人気があるなんて、悪い冗談としか思えない)

これが、日本のジャーナリズムの現実だ。

この映画のテーマは、一言で言うと「記者クラブ」問題だ。

これは、特段目新しい問題ではない。
というのも、この作品にも登場していたが、私はジャーナリストの神保哲夫さんが運営されているVIDEONEWS.comをずっと見ているからだ。もう20年近くになると思う。

VIDEONEWS.comは、あるテーマを決めて、そのテーマに関して詳しいゲストを呼び、神保さんと社会学者の宮台真司さんが、様々な切り口から話を深り堀りしていくインターネット番組だ。毎週新規コンテンツが追加され、だいたい1本2時間ほどある。

この中で、神保さんは日本の記者クラブ問題をたびたび取り上げている。
今作の中でも30年間戦い続けている、とおっしゃっていたが、本当に昔からスタンスが一貫している。

その人の話をずっと聞いてる身としては、この作品で扱っているテーマは当たり前のことすぎて、目新しさがなかった。

望月さんは、まだ東京新聞という記者クラブ内のグループに所属しているから質問ができるが、記者クラブに属していない神保さんはあの場で質問すらさせてもらえない。さらに、質問内容も事前に提出する必要があり、答えが用意してある。台本が決まっている芝居なのだ。しかも、その他の新聞社の会社員(≠ジャーナリスト)たちは、同じ立場の望月さんを助けようともしない。

これが、あの官邸記者会見の真実である。

こんな状態で民主主義?
知る権利に答えてる?
国民が大事?

本当に悪い冗談である。

阿部政権や菅官房長官が特別な悪人というわけではなく、戦後ずっと続いてきた儀式なのだ。民主党政権のときに少しだけ変化があった。それまでは、フリーのジャーナリストが記者会見に入ることすらできなかった。それでもまだこの程度だ。

本来は、この作品は成立しない。
望月さんは、欧米などのジャーナリストが「当たり前」にやってることをやってるだけなので。しかし、それが作品になってしまう。それが今の日本だ。

ジャーナリズムは民主主義の基盤だ。
マスコミが正しく機能し、権力者に阿ることなく質問をぶつけ、国民に正確な事実を伝えたり議論の種を提供してこそ、民主主義は機能する。

現在の日本社会のヒドイ状態は、民主主義が機能していない結果でもある。その大きな要因が、この作品のテーマでもあるジャーナリズムの機能不全だ。

映画観終わった後で調べたら、望月さんは私と同い年だった。
これからも健康に気を付けて、この腐ったマスコミ業界に小さな楔を打ち続けるため、頑張り続けてもらいたい。

私は昨年2018年の11月に転職し、役割的には「データサイエンティスト」となった。

しかし、いまだにこの「データサイエンティスト」という名前は自分の中でしっくりきていない。「何をやってるんですか?」と聞かれて、「データサイエンティストです!」と自信を持って答えられない。なんとなくムズムズする。

業界内でも理解して使ってる人が少ない。
なので、余計にその役割です、と言いきれない。

業界内や他人の認識はとりあえず置いといて、自分の中でちゃんと定義していないことが問題だ。なので、転職して約1年経ったこの機会にしっかり考えて、少なくとも自分は「XXXです」と言えるようにしておきたい。

そうすれば、このXXXはこういう役割なんですよ、と自分がその相手に対してどんな手助けができるかを説明できるようにもなるので。

まずは一般的な定義から考えてみる。

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久しぶりのブログ。
また随分時間が空いてしまった。

自分はどうにも長文を書くクセみたいなのがあって、文章が長くなってしまう。できるだけ平易で短い文章書こうとは思ってるんだけど、まだまだ上手くできない。

けど、別に短いブログでも良い。
最近書きたいことも少しずつ貯まってきてるし。
なので、割と短めな文章でサクサクと吐き出していこうと思う。

時間

最近よく考えるテーマ。
時間。

すべての人に等しく与えられているリソースだ。

1日の時間は言わずもがな24時間。
とは言え、この時間は相対的なもんだ。
めっちゃ長い1時間もあれば、気づいたらすでに2時間経ってた、なんて経験は誰しもある。

よく考えるようになったきっかけは、最近哲学として学んでいる「(原始)仏教」、デービッド・アトキンソンさんの著書で語られている日本のこれからを考える上で重要な「生産性」、SNS見てていつも感じること、最近あったプライベートな経験、など様々だ。

その考えを、思うままに書き連ねてみようと思う。

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令和元年のGWは、ひたすら小室直樹さんの本を読みまくっている。

特に令和とは関係ないのだが、前から読もうと思って積読してたところ、天気も悪く外に出る気もしなかったので、ちょうど良い機会だった。GW中の5月3日は憲法記念日だし、憲法学ぶのにちょうど良いかも。

資本主義や経済学、数学などの原論も本当にタメになったが、この憲法言論も実に面白い。

今まで「憲法」を真正面から扱った本はちゃんと読んだことがなかった。
しかし、現在の民主主義や資本主義(経済)を理解する上で、この憲法を避けて通るわけにはいかない。そのことが、本を読んでスッと腑に落ちた。

小室先生の凄さは、数学・経済学・法学・社会学・宗教学などの幅広い知見を元に、一般の人にでもわかりやすく説明できるその解説力にあると思う。
専門知に埋没してる専門バカにはできない芸当。さすがとしか言いようがない。

頭の中を整理する上でも、この本で学んだことをブログにまとめておこうと思う。 ⇒ 続きを読む