中国という国

いつも信頼できる情報を流してくれるおなじみマル激のビデオニュースで、5冊目の本が出版された。

本のタイトルは「中国 隣りの大国とのつきあいかた」。

新しい視点を度々開かせてくれるマル激だけど、今回も結構目から鱗な話ばかり。中国の現状がすごくよくわかる本になってます(ただし、2005年の対談をまとめた本なので、若干情報は古くはなってるけど。。)。

①まずは中国国民の反日感情について。

中国は江沢民の反日教育の結果、今の若者が国粋的なナショナリストとなり、結果数年前に起こったアジアカップでのブーイングや、日本大使館や料理店にモノを投げつけるような行動につながってる。そういう認識を僕は持ってた。もちろん、日本への不満はあるのだろうけど、それは教育の結果というより、祖母や祖父から話を聞いた結果の反日とのこと。

それは事実を基にしているし、日本が侵略したことも事実なので、反日になるのも仕方無い。。(僕も別にアメリカが好きなわけじゃないし)

それに、日本の2チャンネル右翼のような極右勢力と同様に、ネットで反日を煽ってるのは大抵いつも同じ人で一部の勢力みたい。まぁ、日本でも反中の人は結構いたりするから同じ事かな(…これも相当勘違いだと思うけど)。

中国は経済的にはグローバル化してきたが、政治的にはまだ共産国家のままだ。だからデモは基本的に政府のコントロール化で行われる。サッカーを観に行けるような人達は中産階級の人みたいで、そこそこ教養のある人達らしい。その人達に乗っかる形で、農民など中国社会に強い不満を持ってる人達が騒いだ(アジアカップが開催された都市は、歴史的に反日感情の強い場所ってことも影響してるみたい)。そういう構図のようだ。そして、それは中国政府が国民をコントロールできなくなってることの証明でもある。

②次に、中国政府が繰り返し不快感を示してる「靖国問題」。

これは「日本側が」上手く処理できていないコトが中国側のイライラを募らせる原因になってるようだ。

日本では首相の靖国神社への参拝は、日本国民として当然のことだ!!なんて空気がわりかし当たり前になってる。僕もそう思ってた。けど、どうやら違うようだ。。

戦勝国が敗戦国を裁くという、世界の歴史の中でも類を見ない愚劣な裁判「極東軍事裁判」。この裁判で当時政府や軍の指導者的立場にいたA級戦犯14名は死刑を宣告された。この裁判自体はクソみたいなものなので、到底認めることは出来ないけど、これはある意味「手打ち」だったとのこと。

つまり、本来責任を問われるはずの天皇や国民を免責するために、14名が全て悪かったという事にして、「手打ち」を行ったのだ。処刑された14名もこの事は理解していて、天皇や国民のためにあえて悪者になった。迷惑をかけたアジア諸外国にも(納得はされなかっただろうけど)それでコトを落ち着かせた。どうやらそういう背景らしい。

その後のサンフランシスコ平和条約や、日中平和友好条約も、この「手打ち」を前提として成り立ってる。つまり政府側の人間が、まして最高責任者たる首相がA級戦犯が祭られている靖国神社へ参拝するということは、この「手打ち」を反故にする、つまり日本の戦争責任を反故にしたというコトになる。

そりゃ、中国側が怒るのも当たり前か。。

日本政府の人間はこの辺りの事情を国民に表立って説明はできない。
「手打ち」とは本来表に出てはいけない約束事だからだ。結局双方納得できないし妥協点も無いけど、そのままだとマズいので着地点だけは見つけましょ、ってのが「手打ち」だ。やくざの世界ではよくあるらしい。これは日本の国民がそのことをちゃんと理解して振る舞うしかない。

個人的な感情で行動してよい問題じゃない。戦略があるならまだしも、小泉にしろ安倍にしろ、たんに感情的に振る舞ってるようにしか見えないし、事実そうだろう。。情けないことだけども。。

なので、この事を踏まえると、おのずと解決策は見えてくる。

③さて、次は中国社会の現状について

中国は一応立法府としてのTOPである首相はいるけど、実質は共産党党首が実権を握ってる国家。しかし、どうやらこの共産党支配体制もかなり限界に来ているようだ。。

経済をまず解放した結果、日本同様格差がかなり広がっている。沿岸部と内陸部の格差は相当酷いらしい。その不満はかなり低所得者層(主に農民)に溜まっている。そして、昔は共産主義のイデオロギーを信じるコトで解消できた不満も、ソ連崩壊で社会/共産主義の欺瞞が証明された結果、国民はすがるべき思想を持てない状況にいる(中国も日本同様無宗教国家だしね。。)。その解決策の1つとしての反日でもある。

経済を開放した以上、政治もいずれ民主的にならざるを得ないだろうけど、国民の声を聞くということはポビュリズムに陥りやすいということでもあり、今の中国でポビュリズムが蔓延すると、低所得者層が国民の大半を占める今の状況だと、不満が色んなところで爆発する結果となる(…そーなると日本もかなり被爆しそう。。)。

昔は強権的に行っていたそのコントロールを、共産党が今は上手く出来てない状況のようだ。

また、経済的にはかなり潤ってきてるように見える中国だが、これも割と見せかけで、各国が中国の安い人件費を見込んで工場を建てており、その中間で落ちる税金で潤ってるだけ。売る(消費)先は今まで通り先進国のままだったりする。韓国の三星(サムスン)や現代(ヒュンダイ)のような、中国独自のナショナルブランドが出来て、各企業が中国の消費者向けに売上げを見込める状態にならない限り、この状況は変わらないのだろうが、まだその兆しも見えない。。

安全保障の問題は、今は東シナ海ガス田のエネルギー問題で綱引きしてる状態。けど、日本にとってはあまり旨みが無いみたい。。ただ可能性は0じゃないからどうしましょ?って状況らしい。まぁ、感情的に噴きあがるような問題では無し。国益上有利なように交渉してくれれば良い。

…中国に関する様々なコトを本を読むことで理解できたが、結論として、別に中国は付き合いづらい隣国ではない、ということ(国家に真の親友はいない前提のお話です)。そして、日本側のやり方次第ではいくらでも味方になってくれるように思える。。

個人的には、今まで会ったコトある中国の人は良い人が多かったのであまり心配はしてない。今後中国が政治的にも上手く民主化して大国になった場合、アメリカ、EUに対するアジア圏を作る事になるだろうから、そういう想定の基、くだらない感情的ないざこざを起こすバカな政治家は排除して、戦略的に振舞える日本政府を作りたい(作るような政治家を選びたい)もんである。。

今のところ「中国という国」にコメントは無し

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