「サブウェイ123 激突」

トニー・スコット監督の最新作。

トニー・スコット監督は、昔「トップガン」や「ビバリーヒルズ・コップⅡ」などを撮った名監督(・・・最近の作品は知らないけど)。特に「ビバリーヒルズ・コップⅡ」は大大大好きで、学生時代何度も繰り返し観た。音楽とかも最高に良い。今観ても楽しめる名作。

さて、そんな監督の最新作。
ストーリーは「地下鉄ハイジャック」もの。偶然その時間に勤務していた地下鉄の保安職員が、ネゴシエーター(交渉人)として犯人とやり取りを行う。そんな中で明かされる様々な真実とは…??なんてところが売り文句になってる。

※ここから先はネタばれ要素も含まれるので、まだ観てない人は観ない方がいいです。

ストーリーは結構練られている。
分かりやすい勧善懲悪作品ではない。

デンゼル・ワシントン扮する主人公は、新しい電車決定の際に日本企業から賄賂をもらっていた事実を、乗客を助けるために認めた。

また、ジョン・トラボルタ扮する犯人も、元投資会社の社長として、NY市民の保険か何かだったかな??その運用資金を何らかの投資で2000万ドルの損を出してしまい、それが元で刑務所へ入れられた過去を持つ。そして、ハイジャック事件を起こした結果、金相場で同額の2000万ドルを稼ぎ出す。「「死」は神への「借金」を返すことだ」と作品中何度かこの犯人は語っていたが、おそらくは、この「利益」で「借金」を返したというコトなのだろう。つまり犯人は見事目的を達成したわけだ。そして、最後は主人公に打たれて満足そうに死ぬ。

登場人物であるNY市長は、不倫事件でスキャンダル中。収入1ドルで市長という役職を務めている割に、高価なスーツに身を包む。明らかに悪人の匂いがする。

ストーリー上は数名が死ぬことにはなるが、犯人達は無差別な殺人は犯さない。乗客もほぼ全ての人たちが最後は助かる。

また、賄賂疑惑で降格されていた主人公も、最後事件を解決したご褒美として、市長から役職復帰を約束される。

さて、いったいこの作品での悪人は誰か?

この答えは明確には出せない。善悪や良し悪しが、はっきりとは線引きできない構成になっている。以前観た「クラッシュ」とテーマが少し被る。

しかし、正直観終わった後の後味は良くなかった。
妙に納得がいかない。

おそらく、登場人物の良し悪しをはっきりさせなかった結果として、作品の「軸」が不明瞭になり、全体の印象が薄まってしまった…モヤモヤっとした感じを受け取ってしまったからだと思う。。

「クラッシュ」は他のテーマとして「人種差別問題」を扱っており、その軸が1本作品の中で串刺しされていたので、大変後味の良い作品になりえたのだが、この作品は軸になる「観点」が他に無い。役者達の演技は素晴らしかったので、余計に残念。。もったいない。

演出は、地形を表現するのにGoogle Map的な鳥瞰視点を盛り込んだり、ラップのリズムに乗せたオープニングや、本職FBIネゴシエーターの失敗で乗客が一人殺されてしまった時の、カメラを引いた際の面白い効果だったり、観るべきところがあった。

しかし、全体としては微妙。もう1回観ようとは思わない。
うーーむ。。残念。

今のところ「「サブウェイ123 激突」」にコメントは無し

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