デニス・ガンゼル監督の作品。
舞台はドイツ。なので、主演者は全員ドイツ人だし、映画も全編ドイツ語。
この作品は事実を元にしているようだが、実際の舞台はアメリカ(?)のよう。
おまけでインタビュー映像が付いていたが、モデルとなった教師の言葉を聞いてみるとしっかりした英語だったので。
監督さんはドイツ人みたいなので、「独裁」というモチーフを見つけて、ドイツで映画を作ったんだろうと想像される。
で、この作品なんですが・・素晴らしい傑作です!!
舞台はドイツのある高校。
「独裁」や「無政府主義」など、ある主のイデオロギーを教える授業をやる中で、ある教師が「独裁」を身をもって理解してもらうために、「独裁」に必要な「独裁者」「制服」「規律」などを教えて(実践して)いく心理実験を行う。その中で、生徒達が徐々に変化&制御不能になっていく。しかも1週間で。。。そして、生徒だけじゃなく教師も。。
ちなみに、その集団に名前も付けられる。
それがタイトルの「WAVE」。
1週間という時間は短すぎる気がする。映画用の演出にも取れる。
しかし、徐々に生徒たちに「連帯感」や「高揚感」が生まれて仲間意識が強くなり、比例して「排外的」な態度が出てくるようになる。
生徒達は家庭に問題を持っている子達が多い。
目標もなく、日々に退屈している。
「留学」という目標のある生徒はWAVEに賛同できないわけだし。
そして、最後は悲劇で終わる。
たしかにこの生徒だけちょっと行き過ぎてる。授業というシュミレーション(バーチャル)がいつの間にかリアルになってしまい、バーチャルとリアルの区別がつかなくなってしまった。この生徒の設定属性は「おたく」だったし(笑)
教師も崇拝されて変化が生まれてくるが、最後は上手く納めたように思える。
最後の暴発さえなければ、あれで「独裁」授業は終わりで良い。
なので、最後の悲劇は演出と取れなくもない。
重要なのは、この現象は誰にでも起こり得るということ。
「独裁」のメリットも「無政府主義」のメリットもそれぞれある。そしてどちらにもデメリットがある。両極端。どちらが正しいというわけじゃない。「独裁」の方が良い場合もある。だからこそ、いつの時代でも起こり得る現象だと思える。
(事実、現在世界で調子の良い企業は割と独裁企業が多い。Appleや日本ではSoftBankとか。。)
最後、教師は逮捕されてしまうが、教師だけが悪かったのだろうか??
生徒達は被害者なのだろうか??
絶対に違う。
「社会」は誰かが責任を取らなきゃいけない仕組みになっているので、教師が逮捕されただけ。
全員が加害者だ。