宗教学者である島田裕己さんの著書。
知ってそうで意外に知らない日本の新宗教について、とりあえず概要だけでも知ろうと考えて手に取った本。
神道、仏教、キリスト教など古くからある宗教ではなく、そこから派生して誕生した新宗教を、著者が10選んで紹介している。
(ただし、この本ではキリスト教など海外の宗教から派生した新宗教は扱っていない)
目次は以下の通り。
はじめに
1—天理教
2—大本
3—生長の家
4—天照皇大神宮教と璽宇
5—立正佼成会と霊友会
6—創価学会
7—世界救世教、神慈秀明会と真光系教団
8—PL教団
9—真如苑
10—GLA
聞いた事が無いのもあれば、誰でも知ってるような宗教団体もある。
個人的にはこれら新宗教に入信することはあり得ないと断言できるが、今のような不安定な世の中であれば、宗教へ走る人も多少なりともいるだろう。信仰するにせよ、しないにせよ、とりあえずどんな宗教があるのかは知っておいたほうが良い。そのためには、この本はまとまっていて読みやすいと思う。
さて、本を読んで思ったが、私は新宗教の歴史や教祖などには全く興味が無いらしい。。。
興味の対象は、もっぱら各教団が何系統から派生したのかということだけで、神道系から派生した「天理教」や「大本」、また「大本」からさらに派生して出来た諸々の教団、また仏教(日蓮宗)から派生した「創価学会」や「立正佼成会」の、大きく2つの流れがあることが把握できただけで、この本を読んだ目的は達成と言える。
(真言宗から派生した「真如苑」はかなり珍しいケースみたい。。)。
ところで、本に載っていた宗教が普及する要素としての「老病争」という視点は面白い。
なるほどなーと納得する。
もひとつ付け加えると「貧」か。。
「貧老病争」
これはいつの世も避けることが出来ない。
だからこそ、どんな世でも宗教は無くならないのだろう。。
これら新宗教に興味が無いからと言って、「信仰」を否定する気持ちは全く無い。
私には、色んな事物に神が宿るという、八百万の神々の神道が、一番感覚的にしっくりくる。ただし、媒介者である神主や僧侶や牧師や教祖は、自分には必要無いなと思う。だから、「入信」することはあり得ないのである(まして「現人神」など論外)。
太陽や岩や川や様々な自然物には、何かしら宿っているという感覚は、自分の中にやはりある。
日本人だから、という要素もあると思うが。。
(それだけ「日本」という大地は自然に恵まれているということだろう)
そういった感覚は信じているし、祖先を敬う気持ちはある。
それを自分で自覚出来ていれば、私にとって形式はどうでも良いのである。
何を信仰しても憲法で保証されている通り自由なのだが、何故それを信仰しているかくらいは、自分自身納得しておいた方がよい。盲信するのではなく。。日本ではオウムの事件以降(それ以前から??)、宗教についての話題は割とタブー視されているようなとこがあるが、別に「信仰」は悪いことではない。この本は「宗教」というものを改めて考えるきっかけにはなると思う。
1つ興味深かったデータが、日本の私立高校の1/3が宗教団体を経営母体(うち6割がキリスト教系、3割が仏教系、1割が神道と新宗教)としているということ。
そんなに多かったのか。。
それだけ日常生活に溶け込んでるってことだな。。
だからこそ、色眼鏡無しで「宗教」を考えたり、もっと公の場で語ったりしても良いのではないかと思う。