安部芳裕氏の著書。
内容はタイトル通り。現在の金融(銀行)システムは250年ほど前に「ロスチャイルド」という名の一部の投資(銀行)家が作り、それ故に我々が今現在も搾取され続けているという事実を、これでもかと証明してくれる本。
私はこの本を読んで、1つ洗脳が解けたように思う。
「何故、銀行からお金を借りるとき利子が発生するのか?」
この疑問は今まで抱いたことが無かった。至極当たり前、常識だったので。しかし、よく考えてみるとたしかに不思議だ。何故利子を払う必要がある??何でそんなシステムになってるんだ??その「問題提起」をしてくれた事が、この本を読んだ一番の収穫だった。いや、ほんとマジで。。
それくらい本書は衝撃的な内容だった。また、1750年頃からのこの250年間を、「金融」という視点で眺めた歴史は大変興味深かった。
まずは以下、目次の紹介を。
第1章 お金の歴史―銀行という詐欺システムが誕生したカラクリ
第2章 お金の問題点―利子という椅子取りゲームが貧富の差を生んだ!
第3章 金融の歴史―国家の命運は銀行家が握っている
第4章 ロスチャイルドの世界革命行動計画
第5章 ロスチャイルド関連の世界史1―近代史の謎が解けた!!
第6章 ロスチャイルド関連の世界史2―戦後世界の枠組みも彼らが作った!
第7章 世界の現状―このままではロスチャイルドの狙う地球独裁体制になってしまう!?
第8章 未来への提案―偽りの経済システムをこえて自立型経済の実現へ
「ロスチャイルド」という名前が頻繁に登場する。本書のタイトルにも。
この名前は陰謀論を語られる際によく聞く名前だ。私は今までよく知らなかったのだが、この本を読むことでやっと実態を知ることができた。なるほど、たしかに「フリーメイソン」と関わりがあったり、秘密結社「イルミナティ」設立の資金提供をしたり、ユダヤ人特有の優生思想(これって迫害された故のルサンチマンかね?)などなど、陰謀論が好きな人には「全てを操る悪の権化」的な、ネタにしやすい組織(集団)ではある。
陰謀云々は私は興味がないので、特にその話には触れない。この本の主題でも無いので。しかし、陰謀かどうかは置いておいて、「銀行システム」は実際に存在しているし、私も普通に利用している。存在する以上は誰か作った(設計した)人がいるわけで、当然そこに何かしら意図はあったはずだ。
「利子」という仕組みが借り手(企業)に「成長」を強制させているという話は目から鱗。たしかに、利子が無ければ必ずしも成長する必要はない。上場してる企業は「株主」という別の資金提供元がいるので違う配慮が必要だが、上場していなければ、「利子」さえ無ければ成長しなくとも現状維持で十分だ。
「利子」=「椅子取りゲーム」という比喩もその通り。もちろん、経済成長無し=パイが変わらない、という条件付きだが。パイが増えれば椅子が増える。しかし、現在のように経済成長しない状態だと、椅子取りゲームをやってる限り、必ず椅子に座れない誰かが不幸になる。本来成長できない時は、無理にゲームに参加する必要は無いのに。。
また、「利子」と「信用創造」という詐欺のような仕組み故に、銀行が不当に儲けられる存在だと言うのもはっきりと理解できた(「信用創造」については、以前「洗脳支配」を読んで学んだこと)。日本の場合、中央銀行(日銀)は政府の機関だが、その日銀が紙幣(日本銀行券)を刷る=債権発行と同じ意味なので、そこには「利子」が発生してしまう。その刷った紙幣は民間銀行を経由して「債権」として政府が引き受けるので、結局銀行が利することになる。その支払う「利子」の原資は我々の税金だ。
それと、昔の「金」を担保にして紙幣を作っていた金との固定相場制である金本位制(兌換紙幣)が1972年に崩壊し、担保の必要無い不換紙幣(変動相場制)となり、だからこそデリバティブやCDSなどの金融商品も作られ、マネーサプライだけがアホみたいに増えて、結果サブプライムローンが崩壊(今もCDS崩壊寸前)。現在に至ったことも理解できた。
なんだろうね、このシステムは。。
理解したら、ほんとに「怒り」が湧いてきたわ。。
さて、その上で、今後どうするか?
著者が提案してる「陽経済」と「陰経済」という考え方はヒントになる。
たしかに、この仕組みがわかったからと言って、明日から全て無し、ってわけにはいかない。「経済成長」が悪いわけでもない。仕組みの問題なので。だからこそ、利子付きだが「経済成長」をドライブさせる「国家通貨」を軸とした「陽経済」と、人々に必要だが利益はあまり生まれない事業に、利子が発生しない「地域通貨」を使うという「陰経済」の2本立てというのは上手く回るように思う。もっとも、実生活で「国家通貨」と「地域通貨」をどう両立させるのか、ちゃんとイメージはできていないが。。経済圏が完全に分かれるのかな??相互交換できたら意味無いもんね。。
これを実現させるには、強力なリーダーシップを持った政治上の人材が不可欠。今の政権には期待できないな(笑)
しかし、まずは事実を知ることが重要。そうすれば、対策も考えられる。我々がどれだけ理不尽なシステムの上で生活しているのかもわかる。
久しぶりに、目から鱗がボロボロと落ちまくる良著に出会いました。
最後に、最近読んだ本や観たアニメと色々リンクしてたのが面白かった。こないだ読んだ「ロスト・シンボル」はまさに「フリーメイソン」を扱った話だったし、「BLOOD+」というアニメの登場人物は、このロスチャイルドの5兄弟から名前を借りてる。アンシェル、ソ(サ)ロモン、ネイサン、カール、ジェームズ。アニメ制作者の隠れた意図が見えた気がした。
うーーん、色んなコトが複雑に繋がってるなぁ~。
やはり物事を知ることは面白い!!好奇心バンザイ!!!
この本読んで、そのコトを改めて実感しました。