やさしいベーシック・インカム

ベーシック・インカム研究所の新田ヒカル氏と星飛雄馬氏の共著。

この両名がそれぞれ別の章を担当する構成になっている。それと、ホリエモンこと堀江貴文氏との対談も載っている。
(最初、星飛雄馬ってあの芸人かと思ったわ(笑))

内容に関してはタイトル通り。「ベーシック・インカム」について。

最近ホリエモンや、dan kogaiこと小飼弾さんも本やらブログやらで良く扱っているし、その他のチャネルからもよく聞くようになってきた。その「ベーシック・インカム」について改めてちゃんと学んでみようと思い、手に取った本。

以下は目次。

はじめに
第1章  日本一よくわかる「ベーシック・インカム」 新田ヒカル
第2章  ベーシック・インカム実現への道 星飛雄馬
第3章  ベーシック・インカムは可能である 鼎談 堀江貴文、新田ヒカル、星飛雄馬
ベーシック・インカム実現へのロードマップ
あとがき

年金や生活保護などの現存する社会保障の仕組みと、「ベーシック・インカム」が実現された社会保障とを比較して、どちらが国民にとってより良いかを論じている。

たしかに「年金」問題の手当ては急務。どう考えてもこの仕組みが持つワケがない。数年で破綻するのは目に見えてる。そのひとつの解決策として、「ベーシック・インカム」は良いと私は思う。もちろん基礎年金だけではなく厚生年金も支払ってる人もいるので、どう移行するかは知恵を絞る必要はあるだろうけど、「ベーシック・インカム」以上の給付を受けたい人はプラスαで保険料払うようななどの仕組みを検討すれば良いだろう。

また、行政の担当者が恣意的に受給者を選べてしまうような「生活保護」も明らかに問題が多い。不当な受給者も多いし(特に大阪は。。)。また、私は今まで2回転職をしているが、「雇用保険」も完全に欠陥品である。保険料払ってるわりに、受給条件が厳しくて、受け取ったことが無い。何でハローワークに申請せにゃいかんの?しかも給付に2ヶ月必要やし。。

この辺り、「ベーシック・インカム」は大変シンプルな仕組みで、仕事してようとしていまいと給付されるわけだから、申請コストもかからないし、そのための人員も必要無い。無駄だらけの公務員(税金)の削減にもなる。恣意的に扱われる隙間も無い。ほんとわかりやすいし、納得できる。

給与高い人ももらえるの?という話は論外。もらえて当たり前。余計なコスト増やす必要はない。

それと、納税者(社会保障)番号もたしかに必須。これは「財源」をしっかり確保する上でもほんとに大事。こういった仕組みを作るときは、フリーライドできる抜け道を出来る限り潰していく必要がある。その抜け道は行政側の無駄な人員(公務員)にもつながるので。

で、その「財源」。
これが「ベーシック・インカム」の話をするときに一番肝になる。
そんな財源どこにあるの?と。

一人「5万円」給付すると仮定して、年間「78兆円」必要とのこと。

最初に言っておくが、新田氏の「財源ありきの制度じゃない」という態度は問題。国債刷りまくって財源作る気か?どんな制度だって回らなければ意味が無い。なので、「財源」含めてしっかり議論すべき。

で、堀江氏も言ってるが、私も「所得税」や「法人税」より「消費税」を充てるべきだと思う。なので、「消費税」UPは避けられない。それは良い。というか、むしろ順序が逆で、「消費税」UPするならば、「ベーシック・インカム」(のような保証制度)は必須だと思う。セットで考えるべき。「消費税」は平等な税金に見えて、実は累進が全く効かない、お金無い人の方がしんどい税制。「消費税」としての100円は、月5万円収入の人と、月50万円収入の人では、収入低い人の方が相対的にコストが高くなる。生活必需品とかは結局みんなが買うわけだしね。お金持ってる人は、お金使わない(「消費税」払わない)という選択肢もあるわけだし。

逆に「ベーシック・インカム」は、お金無い人ほどありがたい仕組み。月5万円収入の人と、月50万円収入の人では、収入低い人の方が、「ベーシック・インカム」5万円の価値が相対的に高くなる(必ずしも「ベーシック・インカム」である必要はないけども・・)。

しかし、仮に消費税を20%にUPしたとして、それでも+30兆円にしかならないのか・・。

「子ども手当て」はたしかにこの「ベーシック・インカム」に近い。

ただ、衆参で法案が通ったので実際支給されるわけだけど、「子ども」だけってのはちょっと社会保障としては弱い。多少は「少子化」対策にはなるかもしれないけど、正社員化できない若者には何の保障にもならないわけだし、結局財源となる税金払うのは成年なわけで、長期的に見て穴だらけに思える。まぁ、最初の一歩としては良いか。。

ちょっと「?」と思ったのが「特別会計」。
一般会計と特別会計を重複部分を省いて計算しなおすと、トータルで、歳入約230兆円、歳出約210兆円というデータが出ていた。この数字は今まで知らなかった。どうやって計算したんだろ??

それは置いといて、わからないのがこの歳入230兆円。一般会計歳入の102兆円のうち、半分近く44兆円が国債でしょ?で、税収は46兆円しかない。残りの130兆円ってどこから調達するの?これは昔から疑問だった。「特別会計」って(重複も含むだろうけど)400兆円くらい毎年積み上げてる。その財源って、まさか全額を、年金の積立金&郵貯預金・簡保保険料⇒財政投融資に変えて捻出してたんだろうか??年金積立金も既に140兆円しか残ってないと本書でも書かれているが、そんなやり方だとすぐに資金が底付きそうだが。。この+130兆円のお金の出所がよくわからないな。。仮に財投頼りだとして、結局国債でしょ?これ以上借金増やすつもりなのかしら??ほんまに国家デフォルトしまっせ。韓国みたくIMF管理下なんて絶対嫌なんだけど。。

まぁ、日本銀行券じゃなくて「政府紙幣」を発行するとか、「地域通貨」を作るとか、日銀に国債を直接買ってもらうとか、打てる手はまだまだあるとは思うけども。

かなり「財源」話に傾いてしまったけど、やはり肝の部分なので。ここさえクリアできれば、「ベーシック・インカム」は十分有効な保障制度だと思う。

ただねぇ・・「子ども手当て」を税金のバラマキって言ってる「民度の低さ」だと、「ベーシック・インカム」導入するのは相当骨が折れるだろうな。。そりゃ、行政サービスは全て「税金のバラマキ」だって。公共事業だってそうだし。当たり前なんだけどね、そんなコトは。

もっと色々と煮詰めなきゃいけないと思うけど、「ベーシック・インカム」の可能性は十分伝わる内容の本でした。

あとは、実現に向けて自分が何が出来るか、何を実行するか・・だな。

今のところ「やさしいベーシック・インカム」にコメントは無し

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