ザ・ファシリテーター

森時彦さんの著書。

最近たまに耳にするようになった、「ファシリテーター」という役割の意味を知りたいと思い手に取った本。

本書が発売されたのは2004年だから、もう5年前。概念自体はかなり古くからあるらしく、本書でも触れられているが、アメリカでは30年以上も前から研究&実践が進んでいるらしい。日本に輸入されたのは最近なので、日本とは30年の差があるというわけだ。。

さて、本書はフィクションのストーリー形式になってる。
ビジネス書は概念の説明と、その実例みたいな本が多いが、この本は比較して読みやすい。最近マーケティングの世界に足を踏み入れ始め、業務改革を少し行う機会のあった自分としては、主人公リョウに感情移入しやすかったし(笑)

「ファシリテーション(facilitation)」の語訳は「促進する」という意味。つまり、「ファシリテーター」とは物事を促進させる「潤滑油」のようなもの。そう私は受け取った。

会議が一番例としてはわかりやすいが、感情論に陥った際に冷静な議論が出来るよう道筋を提示したり、後ろ向きになりがちな気持ちを前向きに誘導したりする。しかし、プレイヤーとして重要なのはあくまで「参加者」。「ファシリテーター」は様々なフレームを用意はするが、結論は持たない(というか、提示してはいけない)。参加者に能動的に(内発性を発揮して)考えさせ、結論を出させる。「行動を変化」させる。

あまり感情的にならないよう議論を調整する役割は、日本人は割と無意識にやってるかもしれない。「和」の精神ってことで(最近、この「和」も怪しくなってきたが。。)。まぁ、「議論に能動的に参加する」とか「行動を変化させる」という大事なとこが日本人は苦手なのだけど。。

個々人の役割(責任)がはっきり分かれ、我が強いアメリカ人が生んだ概念というのも納得できる。こういう役割の人に「名前」を付けて定義し機能させないと、うまく会議が収まらないんだろうなぁ。。

ストーリーは、要するに「戦略イノベーション」の実践。
それを具体的に実行する1つの方法として「ファシリテーション」という技術を解説する。「経営管理イノベーション」は特に行われていない。あくまで「戦略」「サービス」「業務」のイノベーション。「経営管理」がしっかり行われている、つまり社長が有能であることが前提での話でもある。登場人物の亀井社長も大変有能な人だったし。

実は日本企業は、この「経営管理」という部分が根本的に一番問題が多いのでは?と、以前「経営の未来」という本を読んだときに感じたのだが、そういう意味では少しストーリー展開が物足りなかった。しかし、どうやら「ザ・ファシリテーター2」という続編もあるみたい。早速amazonでOneClick購入(笑)買収先の統合リーダーとして赴任したリョウ。おそらく今度は「経営」に関してもっと深く関わることになるだろう。その辺り続編に期待しよ。

ともかく、「ファシリテーター」の概念を学ぶには、文句無しの良著。

大変わかりやすかった。
350ページくらいだけどストーリーが面白くてスラスラ読めた。小説みたいに。

取っ掛かりとしては十分。
著書は「ファシリテーターの道具箱」という本も出してるみたいなので、この本も読んでみて「ファシリテーター」が使ってるフレームを覚え、会社で少しずつ実践してみようと思う。

以下は目次。

第1章 リーダーズ・インテグレーション
第2章 開発センターの改革
第3章 全社改革へ
第4章 SWAT
第5章 エグゼキューション
第6章 何が変わったのか

今のところ「ザ・ファシリテーター」にコメントは無し

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