14歳からの社会学

宮台真司さんの著書。

久しぶりに購入した宮台氏の本です。

ビデオニュース・ドットコム」はいつも拝見させてもらっており、その思想や考え方には大変影響を受けているわけだが、その氏が、14歳の若者に向けて、以前より生きづらくなっているこの日本社会の中で、今後どういう心構えで生きていけば良いのか、その処方箋というか方向性を本書で示している。

自分は今年33歳なので、どう考えてもターゲットからは対象外なのだが(笑)、氏が若者にどんなメッセージを伝えようとしているのか、それを知りたくて本書を購入した。

目次は以下の通り。

まえがき これからの社会を生きる君に
1 〔自分〕と〔他人〕 …「みんな仲よし」じゃ生きられない
2 〔社会〕と〔ルール〕 …「決まりごと」ってなんであるんだ?
3 〔こころ〕と〔からだ〕 …「恋愛」と「性」について考えよう
4 〔理想〕と〔現実〕 …君が将来就く「仕事」と「生活」について
5 〔本物〕と〔ニセ物〕 …「本物」と「ニセ物」を見わける力をつける
6 〔生〕と〔死〕 …「死」ってどういうこと?「生きる」って?
7 〔自由〕への挑戦 …本当の「自由」は手に入るか?
8 BOOK&MOVIEガイド …SF作品を「社会学」する
あとがき いま〔世界〕にたたずんでいるかもしれない君に

ターゲットにしている14歳にとっては、ちょっと難しい内容かもしれないが、自尊心やルール、恋愛に仕事、生と死などについて、普段の宮台さんの文章よりかなり簡易に書かれている。

これは、別に14歳の若者だけが知る必要のあることじゃなく、むしろ20歳以上の大人がもっと知るべきこと。そして、下の世代に話して引き継いでいかなければならない考え方だと感じる。

個人的に一番共感できたのが、カントの「実践理性批判」や古代ギリシャの「主意主義」から引用される、人間社会は「自由意思」から出発するという立場。社会学は「意思」から出発しているらしい。そして、「意思」に「合理性」など全く無いという考え。

当たり前と言えば、当たり前だ。

この考えを前提にすると、ある意図を持って社会のデザインをしても、人がその通りに振る舞ってくれる保証は全く無いということになるが、それでは「何でもあり」でも良いのか?そんなはずはない。「意思」から出発するのが無駄ということにはならない。

空から「降ってくる」感情や欲望ではなく、それに抗うことで生まれる「意思」から出発するという立場は、現在自分の行動の指針になっていると思う。

「感情」や「欲望」に流されて生きるのはある意味楽な生き方だ。「自己責任」という言葉で無責任にも若者に責任を押し付けて、自分達は「感情」や「欲望」で生きている(大多数の)年長者世代を見ると、「意思」の大事さは相対的に輝いて見える。

出来れば、これからの世代の人は、そういった考えを持って成長して欲しい。
これは、将来にあまり希望を持っていないように思える、今の職場の若者達を見ていて、切に願うことでもある。

その他の論は、よくビデオニュースでも語っていることなので、特に目新しいことではなかった。
最期に紹介されているSF小説や映画は、時間あるときに観てみようかな。。

直接14歳の子供達が読むのも良いが、身近にこの年頃の子供がいる人であれば、もっと噛み砕いて、話して聞かせてほしい内容の本である。

今のところ「14歳からの社会学」にコメントは無し

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