WiMAXの行く末は?


 電波監理審議会は12月21日、2.5GHz帯の割り当てについて、ウィルコムとKDDI陣営のワイヤレスブロードバンド企画の2社が適当との答申を出した。両社には同日免許が交付される。

 ウィルコムは次世代PHSと呼ばれる高速PHSサービスを、ワイヤレスブロードバンド企画はモバイルWiMAXと呼ばれる規格を採用する。両社とも2009年にサービスを開始する計画だ。

 この件に関し、免許を受けられなかったNTTドコモ陣営のアッカ・ネットワークスと、ソフトバンク/イー・アクセス陣営のオープンワイヤレスネットワークはそれぞれコメントを発表した。

 アッカ・ネットワークスは「広帯域移動無線アクセスシステム市場においては、新規事業者の参入による新たなビジネスモデルの実現と、それによる産業の活性化や豊かな社会の実現がなされることを期待してきた。新規事業者である当社が評価されなかったこと、財務基盤の確立と資金調達の計画も十分に立てており最もオープンなMVNOを提唱してきたことなどにおいても当社が評価を受けなかったことは誠に遺憾」とコメント。WiMAX事業については、今回認定された事業者が提供するMVNOサービスを利用して展開するとの考えを示した。

 また、オープンワイヤレスネットワークは「この評価については、まったく納得できないし、受け入れられない。我々の要望が反映されていないことは、誠に遺憾である。


昨年12月21日にWiMAX(ワイマックス)の周波数帯が「ワイヤレスブロードバンド企画」と「Willcom」の2社に割り当てられることが総務省より発表されました。

ワイヤレスブロードバンド企画はKDDIやインテルが率いる陣営。この決定によりドコモやソフトバンク/イーアクセス陣営は事実上敗北し、WiMAXを使う場合は決定した2社から提供されるMVNOにてサービスを行う事になります。

PHSや携帯など無線の周波数は公共の財産なので、勝手に民間会社が使うことは出来ず、どの帯域を何の役割で使用するかを各国の政府(日本だと総務省)がそれぞれ決めるわけですが、現在流通している無線LAN(Wi-Hi)に変わる新しい無線技術「WiMAX」を2.5GHzの帯域で使用すると決め、その帯域を使用できる免許を最大2社に割り当てると総務省が発表したことから始まった今回の騒動。

総務省の思惑は、既存第3世代携帯サービス事業者各社の単独での免許交付は行わない(出資比率は20%以下)という決定からも推測されるように、「新規参入」や「技術競争を促進させる」ことにあったはずです。

今回の決定で一抹の疑問が残るのは、「Willcom」は良いのですが、KDDI率いる「ワイヤレスブロードバンド企画」です。

WiMAXは家庭や都市での無線(LAN)通信に取って代わる技術というだけではなく、未だADSLや光ケーブルが普及していない地域に高速インターネット通信を広める役割としても期待されています。その場合は今回免許を取得した2社には頑張ってほしいんですが、WiMAXを使った他の用途としてIP電話としても使えるはずなんです。

現在携帯事業者は、各周波数帯(例えばFOMAならばW-CDMA方式)の無線接続を確立するために日本各地に基地局を建てています。その設備費用たるや軽く数百〜千億円はかかっているでしょうから、資産を相当圧迫しているはずです。KDDIなどいつまで経っても携帯回線が弱いのは設備費に回すお金が無いからでしょう。

しかし、日本全国で繋がることをサービスの売りにしている以上、設備にお金をかけないわけにはいかない。。そんな苦しい台所事情があるはずです。

携帯事業者としてサービスを行っているKDDIは、仮にWiMAXがIP電話で利用されるようなことになれば、既存の事業と共食いすることになるため、既存権益を守る方向へ進む事が予想されるのです。

そうなった場合、我々利用者が不利益をこうむる事になる。

お仕事で各携帯事業社と関わることもあるのですが、ドコモ社は各社に対して割とフェアな対応をとる一方、KDDI社は自分たちの利益のためならフェア精神を二の次にするふるまいが多々見られます。。

通信インフラは社会の大事な基盤でもあるので、フェアでない会社が運用するのは避けてもらいたい。。
それが今回の決定を聞いたとき最初に頭に浮かんだ正直な僕の感想です。

もちろん、この心配は杞憂に終わる可能性もありますが。。。

技術的にはスゴく面白くて可能性がある分野なので、今後ウォッチし続けていきます。
また大きな変化があればブログで取り上げたいと思います。

【参考サイト】
2.5GHz帯の割り当て、ウィルコムとKDDI陣営に決定

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