教育改革について

2008年初のブログ。

去年はあまりブログ書かなかったですけど、今年はもうちょっと文章を短めに抑えて、書く回数を増やそうかと思います。

さて、今年初のブログのテーマは「教育」について。
おなじみインターネットビデオニュース「マル激」で扱われていたテーマです。

PISA(Programme for International Student Assessment)という、2006年に各国で行われた15歳の学習到達度を測るテストの結果が昨年12月に発表されたらしいですが、その結果は「科学的力リテラシー」「数学的リテラシー」「読解力」の3科目全てで順位を落としているそうです。

ゆとり教育が実施されてから子供達の教育レベルは落ちていると指摘されて久しいですが、それを証明する結果が提示されたってことですかね?おそらくそれを表す何かしらの指標は毎年出てるとは思いますが。。

ただし、総合トップのフィンランドと比べても、トップレベルの子供達の数は特に変わらないとのこと。。どうやら、底辺の子供達の数が増えてきている、つまり勉強が出来る子と出来ない子の格差が広がってきた結果、順位が下がっているようです。

政府はこの結果を受けて、教育再生会議などで第3次報告書を作成し、理数系の充実などの項目を盛り込むそうです。短絡的に。。

番組でも何度も指摘されてますが、そもそもゆとり教育の目的はなんだったんでしょうか?

社会学者の宮台さんがおっしゃっている「フォード/モダン/第2次産業」⇒「ポストフォード/ポストモダン/第3次産業」への転換って話がわかりやすかったですが、フォード(生産主義)とは大量生産大量消費の社会を背景とした製品の生産方法ですが、「分業」がキーワード。方式を考える設計者(頭脳労働者)としてのホワイトカラーと、手足として働く肉体労働者としてのブルーカラーってカテゴリー分けが象徴的ですが、各自が自分の役割だけを果たせば、それが全体の生産性をUPさせることに繋がるという考え方。肉体労働者にとっては、「歯車」って言葉が確かにぴったり当てはまる考え方です。戦後の教育が「事務能力」を高めることを目的としていたのも、この生産方式に沿う労働者を生み出すためだったようです。

しかし、ポストフォード型の生産主義は多品種少量生産が基本。各自にマッチしたオーダーメイド型の商品が売られるようになった社会では、今までの教育では最適な労働者を生み出せません。各自が役割をこなせば良かった「分業」型から、トータルでバランス良く物事を考えられ多様な価値観を許容できる「包摂」型へシフトさせるような、今までとは違った人材を生み出す必要がある…ゆとり教育の目的はこの人材を生み出すことにあったはずです。

理数系の底上げをしたり、英語勉強の時間を増やしたり、まして「徳育」なんて授業を増やすことで、こういう人材を生み出せるはずはないのですが。。

勉強プログラムから脱落している子たちのケア(全体の底上げ)は必要だと思いますが、少なくとも中学までは僕たちが子供だった頃の、基礎的な学力を学校で徹底的に教えるというやり方で全く問題は無いように思います。理想を言えば、杉並区和田中学校のようにグループ学習をもっと充実させてくれれば言うことは無いです。これは子供達への教育という側面だけではなく、地域に住む大人達を巻き込むことにより、学校を中心とした地域コミュニティを作るという別の目的もありますが、このコミュニティもひいては子供達の教育に役立つという考え方に根付いている…非常に合理的です。この学校の取り組みを見てると、ほんと今からでもこの中学校に通いたいと思いますもの(笑)

グループ学習で各自がディベートなどを行って色んな人とコミュニケーションを行うスキルを身につけることは、いわゆる「個性」を発揮することにつながると思います。社会に出てみると、結局は「自分の意見を伝えること」が、様々な人と仕事をする上では絶対的に必要なことで、今の時代では「個性」と認識されるスキルだと実感しますもの。いわゆる技術力はそれ自体尊敬されるべきことではあるのですが、技術者はえてして自分の役割しか興味がない…これは、フォード生産主義(「分業」型)の自分の役割だけをこなせばよいという立場ですし、それだけでは中国やインドの人達と仕事をすることになるだろう今後の社会では生き残っていけないと思います。

高校での勉強の問題は、入試があるため大学教育の問題とセットなので、また別の課題だと思います。大学が既に社会で活躍できる労働者を生み出す役割を果たせていないので、まずは大学から変えないとある意味大学へ行くための予備校でもある高校は変えても意味がありません。これはほんと気絶しそうなほど時間かかりそうですが。。。

…短く文章まとめるつもりがまた長くなってしまった(笑)

どうも、政府の方針は完全に頓珍漢な方向に進んでいるようなので、草の根活動を応援するしか無いような状況ですね。。僕はまだ子供はいないのでそれほど実感は無いですが、子供がいる人達はより切実な問題のはずです。もっと自分の問題として実感する必要がありますよね。。社会全体の問題ですもの。

興味あれば下記のリンクからたどって調べてみて下さいませ。

【関連サイト】
□マル激
 誰のための教育改革なのか?

全国[よのなか]科ネットワーク

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