伊藤守さんの著作。
氏はコーチング会社の会長も勤められているみたい。
「コーチング」は以前から興味があった分野で、何かしら取っ掛かりとなる本を読んでみようと思っていたが、この本はすごく分かりやすくて最適な入門書。
もっと深堀りすれば理論や方法論も複雑になるんだろうが、「世界一シンプルなマネジメント術」と銘打ってるだけあって、方法論も非常に簡単。明日から実施できる。
ついでに言うと、このシンプルな装丁も良い。
Discover社という出版社は最近で良く買ってる。
ここの装丁デザインは、妙に感覚的に気持ち良い。
さて、目次は以下の通り。
第1章 この3分間が組織を変える!
1.2つの時間をつくる
2.3分間コーチは、コミュニケーションのプラットフォームをつくる
3.実行されることの量とスピードが変わる
第2章 その瞬間をつかまえる
1.観察して、その瞬間をとらえる
2.仕事の流れに沿って、場面をとらえる
3.ニーズに沿って、場面をとらえる
4.部下が声をかけやすい環境をつくる
第3章 そこに、その<場所>をつくる
1.どうやって、声をかけるのか?
2.どうやって部下に話させるのか?
3.信頼関係を築く
第4章 これについてコーチする
1.ビジョンをつくる
2.問いを共有する
3.個人の目標を設定する
4.今いる場所を示す
5.リソースを最大化する
第5章 コーチ型マネジャーの時代
1.そもそもコミュニケーションは大切か?
2.いかにして変化を起こすか?
3.コーチ型マネジャーの時代
内容は簡単だが、実践するのは難しい。簡単だからこそ。。
今の時代、人材不足の穴埋めとして「プレイングマネージャー」が重用されているが、大抵は「プレイング」に時間が取られて「マネジメント」は後回しにされている。
自分の前の職場もまさにこの形。
しかし、管理職とは本来「マネジメント」するからこその管理職なのであって、「プレイング」だけならただの社員だ。
特にIT業界は業界的に若いこともあり、また人材が育っていないこともあり、この手の会社が多い。
本来「プレイヤー」として仕事をする能力と、「マネージャー」として仕事をする能力は完全に別モノなのだが。。
しかし、「部下を持つ」という状態はいつでも起こりえる。
そういう意味で、管理職に興味が無い人でも読んで得るものは多い。
本質は割とシンプルで「コミュニケーション」と「目標設定」。
この2点と感じた。
コミュニケーションと言うと長い時間をかける印象を持ってしまうが、一日(一回)3分間で良いから!!というのが、この本最大のメッセージ。
そうなのである。
「コミュニケーション」と肩肘張る必要はない。
簡単な会話の積み重ねで良いのだ。
ちょっとした会話をしない上司は、自分に興味が無いのだと、部下としてはすぐに感じ取ることが出来てしまう。
それは今までの経験として実感できる。
一人一人に対して「関心」を持つこと。それが重要。
読んでみると、若い人の価値観に照らすと、割と当たり前のことが多い。
しかし、古い価値観、上からモノを言うタイプの上司だと、この手法を使うのは相当考え方を変える必要がある。
Amazonを見ると、2008年5月2日時点で24位の販売実績。
こういう本が売れるということは、実践できてない人が多いということ。
「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」の書評でも書いたが、大事なのは「古い価値観を変える」こと。
コーチングする相手に「変化」を求めるのは重要だが、何よりコーチングする立場の人が変化しないとこの実践は出来ない。
この本を読んで、一人でも多くの人が(特に上の世代の人が)この実践を試みてくれることを望む。