トーマス・アームストロングさんの著作。
著者は教師でもあり、心理学者でもあるらしい。
さすがに教師だけあって、「教師」の立場で「子供」を育てるためにどうすれば良いのか?という視点を終始貫いて書かれている。
目次は以下の通り。
第1章 「マルチ能力」理論とは?
第2章 教師の「マルチ能力」
第3章 子どもたちの「マルチ能力」を見出す
第4章 「マルチ能力」理論の導入
第5章 「マルチ能力」を活かした授業プランの立て方
第6章 「マルチ能力」を引き出す教え方
第7章 「マルチ能力」と教室の環境
第8章 「マルチ能力」と学級経営
第9章 「マルチ能力」の学校
第10章 「マルチ能力」の評価方法
第11章 「マルチ能力」と思考力
第12章 「マルチ能力」の応用分野
「マルチ能力」という理論は初めて知ったが、かなり分かりやすい。
この理論では人間が本来備えている能力を8つに分ける。
言語能力
論理的ー数学的能力
空間能力
身体ー運動能力
音感能力
人間関係形成能力
自己観察・管理能力
自然との共生能力
「マルチ」という呼び方だと何でも出来る人を育成するようなイメージだが、別にこの全てをバランスよく育てろ!!という話ではない。
各自が得意とする能力があるので、その能力に応じた教え方や評価の仕方がある。
また、記憶の仕方や問題解決方法についても、各能力毎にやり方が異なるので、各自が秀でた能力を見極めた上で、子供たちを育てた方が良い。
著者の主張はそういうことである。
この能力が横軸だとすると、縦軸として、以下6つの「思考のレベル」も紹介する。(1956年にシカゴ大学の教授だったベンジャミン・ブルームという人の論文から引用した考え方)
(1)知識を持つこと
(2)理解すること
(3)応用すること
(4)分析すること
(5)統合すること
(6)評価すること
※数字が大きくなるほど思考レベルが高くなる
子供たちがどのレベルの思考なのかを理解することが重要で、そのレベルに応じた教え方をする必要がある。
日本のように全ての子供に画一的な教え方をするやり方だと、完全に馴染まない手法だが、数年前の「ゆとり教育」の失敗を反省しつつ、こういった理論を踏まえた教育方法に文科省が一気に舵を切ってくれれば、将来の子供たちに多少なりとも希望を持つことが出来るのだけれども。。
教師を目指す人であれば、絶対に読んでおいた方が良い本。
会社の人事部に所属している人も、ぜひ読んでおいてほしい。