先月から始めてる個人プロジェクト「毎週1回は映画館で映画観よう!!」。
今週はブランドで有名な「シャネル」の創設者「ココ・アヴァン・シャネル」の、モードで成功するまでの軌跡を描いた同名の映画。
とは言え、実は「シャネル」というブランドにはあまり興味は無い。今まで商品を一度も購入した事も無い。値段が高いという理由もあるし、自分ごときが「シャネル」を身にまとうのはまだ分不相応、と分をわきまえているからでもある。
しかし、一人の女性がどんな形で成功していったのか?、その点に興味を持ち映画を観た。そして、何よりも「オドレィ・トトゥ」という女優が好きなのだ、私は。
オドレィ・トトゥは「アメリ」でデビューした女優さんだが、その後「ダ・ヴィンチ・コード」にも出演されている。いかにもフランス人という雰囲気を身にまとった(あくまで日本人、つまり私のイメージだが・・)、それでいて、単に「かわいい」という形容詞だけでは収まらない魅力を身にまとった女優さん。
今作では、若き日の「ココ・シャネル」を演じている。
シャネルが孤児院育ちというのも驚きだが、やはり1900年代初頭、女が男と同じように働くなど到底考えられないような時代に、自分の才能を武器にしてこれだけ成功できたという実績が何より凄い。現在では「キャリア・ウーマン」など当たり前だし、その名称すら使わなくなってきている。つまり、女がキャリアを持つのは当たり前なのだ。まだまだ男女格差はあるが、私自身も女の上司に全く抵抗は感じない。その一番最初の道を切り開いた人なのかもしれない、この人は。
ストーリーは、ファッション界での成功話はあまり語られず、どちらかというと恋愛話を中心に構成されている。なので、「どうやって今に至る成功を築いたのだろうか?」を知るという目的で映画を観ると、軽い肩透かしを食らわされた気分になる。
しかし、シャネルという人物がどんな風に最初の成功を掴んだのかを知るには、大変わかりやすく良い映画だと思う。貴族が「働く事は悪いこと」と考えている当時の状況も知ることができる。
観終わった後、家に帰ってから調べてみたら、実は1ヶ月前にシャーリー・マクレーン主演で「ココ・シャネル」という映画が上映されていたのを知った。こちらもシャネルの人生を描いた映画だが、最初の成功を掴んだ後から死ぬまでを描いた作品みたいだ。なので、今回観た映画とセットで観ると、より深くシャネルの人生を理解できると思う。残念ながら関西では11月までは上映されないようだが、機会があればDVDでも観てみたいと思う。
さて、シャネルは生涯結婚をしなかったとのこと。
働く女性が自分を投影して観るには良い映画だと思うが、「婚活」ブーム真っ最中のこの国で、そこまでの覚悟をもって仕事に打ち込んでいる人は、男女問わずそれほど多く無いように思う。成功した人はそれだけ多くの物事を犠牲にしている。その辺り、自分との「覚悟」の違いなども認識しながら(比べながら)観ると、色々考える種になるように思う。
しかし、「オドレィ・トトゥ」は本当に素敵な、そして上手い女優さんだなぁー。改めて。。
シャネルの若い頃、ナイトクラブで働いていた時代、貧相な服装をしているときは本当に貧相な娘に見えるし、良い服装をまとうとそこはかとない気品が生まれる。そういった「雰囲気」を持った女優は本当に少ないように思う。「一色」だけを演じられる女優はたくさん居ても。。
上映前の作品紹介で「ヴィヨンの妻」も紹介されていたが、あくまでトレイラーの印象でしかないが、出演している「松たか子」や「広末涼子」や「妻夫木聡」は、あくまで「松たか子」でしか無いし、「広末涼子」でしか無いし、「妻夫木聡」でしかあり得無い。しかし、映画を観る側としては、個々人の俳優を観たいわけではない。映画という「作品」を観たいのだ。その辺りが、最近の日本映画を全く観る気がしない理由でもある。名前だけの有名人など必要無い。ちゃんとした「俳優」を使って作品を作ってもらいたいものだ。
比較して、今作で「オドレィ・トトゥ」は凄く上手く作品に溶け込んでいた。まさにシャネルそのもの(・・って実物は知らないが(笑))。ひたすら感心。こういう人が本当の女優なんだと思える。
ブランドに興味がある無しに関わらず楽しめる映画。
もう1作の「ココ・シャネル」も絶対いつか観てみよう。