宮台真司氏の著書。
宮台さんはここ数年毎週「マル激」を観てるせいか、やたらと親近感を感じてしまうのだが、どうやら氏の初新書とのこと。
目次見てもらうとわかるが、この本の切り口は大変分かりやすいし、入りやすい。
「コミュニケーション/メディア」から入り、「教育」「幸福」「アメリカ」「日本」と続く。しかし、入り口の間口は広いのだが、中が大変複雑に入り組んでいる。「死」「宗教」「安全保障」「経済(資本主義)」「政治」「環境」「農業」などなど…様々なテーマが絡み合い、理解(解釈)するのが難しい。「あとがき」にも書いてあるが、記述の難しさのためではなくて、まさにこの「社会の複雑さ」のために。。
ただ、「マル激」で普段から宮台節を聞いてるおかげか、ゴール地点はわかるのだ。しかし、そこに辿りつく道筋で迷ってしまう。実際、読み終わってもまだ迷い中。。
氏が「はじめに」で、この本がこの社会を論じるための「評価の物差し」を持つための手がかりになると良い、という事をおっしゃっているが、読み終わっても今だ「自分の物差し」が出来た気がしない。
これは何度も繰り返し読んで、しっかり内容を理解した上で、自分流の解釈に落とし込む必要がある。しかし、新書とは思えない内容の濃さ。色んなジャンルの事柄を串刺しで1本竿を刺している/させているのはほんと凄い。それを新書のページ数でまとめてしまう辺り、さすがだなーと思う。
この本をあっさり理解できるエリート達には、これからぜひ「包摂性」のある社会を作って欲しいと本気で願う。自分はエリートではないことは早くから自覚しているので、作る(デザインする)側には回れないとは思うが、協力することは出来ると思うし、協力したい。
これからまた何度か読むとは思うが、とりあえず1回読んだ時点で何を思ったかをまとめる必要があるなと思ったので、書評にまとめてみた。
また再度読んでみて違う解釈を得たら、改めてまとめてみようと思う。
以下は目次。
第1章 人間関係はどうなるのか—コミュニケーション論・メディア論(若者のコミュニケーションはフラット化したか
ケータイ小説的—コンテンツ消費はどのように変わったのか ほか)
第2章 教育をどうするのか—若者論・教育論(「いじめ」は本当に決してなくせないのか
「ネットいじめ」「学校裏サイト」から子どもを守れるか ほか)
第3章 「幸福」とは、どういうことなのか—幸福論(「自分だけ幸せならそれでいい」のか
自己決定論の現在—「宮台真司」の主張は以前と今で矛盾しているか ほか)
第4章 アメリカはどうなっているのか—米国論(オバマ大統領の演説は一体どこがすごいのか
どうして、アメリカは大統領制なのか ほか)
第5章 日本をどうするのか—日本論(後期高齢者医療制度は現代の「うば捨て山」か
裁判員制度—司法の民主化か、新しい動員体制か ほか)