この世界の片隅に

こうの史代さんの漫画。

上巻・中巻・下巻の三部作。
上・中巻は数ヶ月前に発売されててすでに購入済み。で、昨日本屋さんに行った時、下巻が発売されてるの発見して、即効で購入。この下巻で作品は完結しました。

こうのさんの作品は「夕凪の街 桜の国」という素晴らしい作品を読んでファンになり、それ以来「長い道」とか別の作品も読ませてもらい、その優しい作品に感銘を受けて、さらにファンになった次第。

今度「さんさん録」も買ってみようかなと思ってるところ。。

さて、そんな次第なので、この作品を知った際に即効で買いに行ったのは説明するまでも無いところ。3部作を読み終えて、しみじみと、何と言うか…「普通に生活してるってやっぱり幸せだなー」と感じてます。今まで色々と経験して、社会というか人生というか生活について考えた結果、そういう意識は持って日々暮らしては居るんですが、改めてその認識を強くしてくれた…そんな感じです。

作品の舞台は大東亜戦争中、しかも1945(昭和20)年。正確にはその数年前から1ヶ月毎に主人公「すず」の生活を描いてるんですが、この人の作品の登場人物はのんびりしてて、ちょっと抜けてて、「ほっとけない」そんな女の人が多いんですが(ご本人がそうなんですかね…?(笑))、この「すず」さんもそんな性格。

舞台は広島の呉。原爆が落ちた広島市とは結構近い場所だけど、直接の被害は受けていない、しかし海軍の大きな港があったので戦争末期には空襲が始終行われていた、そんな場所。

上・中・下巻の登場人物もしっかり繋がってます。人さらいと鬼いちゃんとか、ざしきわらしとリンさんとか。。人さらいは最後にも出てきますし。。

あまりあれこれ書くのと、読み終わった後の余韻が冷めて何か興ざめしてしまうので、とにかく読んで欲しいなと思います。当時の「普通の人」が戦争の中いかに生活していたかを理解するためにも。天皇陛下の玉音放送を聞いてる描写とか、実際そうだったんだろうなぁーって感じがして思わず笑ってしまいました。

それと、「夕凪の街〜」同様、人の「死」についても考える機会を与えてると思います。ただ、作品で描かれてる人の「死」は、戦争の中の英雄とか犠牲者という扱いではなく、交通事故に遭ってしまったような、日常の中の「死」という印象を受けました。なので、より身近に考えられた気がします。

本来は扱うのに重たいテーマだとは思いますけど、登場人物ののんびりした空気と、著者の優しい絵が上手く中和してくれてます。

最後に。

この本読んで、「すず」さんみたいな、のんびりした人が俺は好きなんだなぁ〜と改めて思いました(笑)昔好きになった人でこういうタイプの人居たなーと。恥ずかしながら。。

なかなかそういう昔を思い出す作品には巡り会えないもの。
読めて幸せでしたね、ほんと。

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