幸村誠さんの作品。
全4巻の漫画作品です。
作品背景は、近未来。2070年頃だったかな、、宇宙開発に成功し、人類が宇宙へ進出した後のお話。ネジみたいな小さなゴミでも宇宙船などに当たるとそれだけで大事故になってしまうので、「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」を拾うという仕事の需要が生まれ、主人公はその仕事をしている。そんな折に、木星探索のプロジェクトが実現化して、主人公はそのクルーへ志願し…なんてお話。
アニメ化もされてて、そっちを先に観たのだが、改めて漫画も観てみようと思い、漫画喫茶で手に取った本。
アニメの方は、「さすがアニメ」というような展開で、テロとか割と重たいテーマも扱ってはいたんだけど、最期はすごく爽やかなエンディングを迎えて、結構印象に残った良い作品だった。ので、漫画も観てみようと思ったわけ。
で、漫画観た感想として、個人的には漫画の方が面白い。
どうしてもアニメはマス向けになるので、エッジの部分が切り取られて、作品自体が丸くなってしまう感がある。
その点漫画は割とそのエッジ部分を鋭く尖らせて、テーマを深堀りできるので、他の作品も大抵そうだけど、アニメと漫画を比較すると漫画の方が面白いことが多い。
プラネテスのテーマは、宇宙開発やデブリの話というよりは、「愛」とか「大人になること」だったり、人間の内面的なことが主題であり、背景はあまり重要ではない印象。「愛」に関しては、ちょっとありきたりでそれ以上でも以下でも無い結論に最期落ち着いてしまったが、アニメよりも多少は「愛」について深堀りされていた。
まぁ、「愛し合うことが止められない」ってな主人公ハチマキの言葉より、作中でロックスミス博士が語ってた「愛について簡単に語るな」という言葉の方が本質かなと思う。。漫画だけではないけど、最近映画とかでも「愛」をすごく簡単に語り過ぎていると思う。要するに薄っぺらいのだ。つながりが大事?そんなことはわかってる。それがイコール「愛」なのかね??作中でも木星探索へ7年かけて行く中で離婚するクルーがいる。それは「愛」が無いから別れるってこと?そんな結論ではないはずなんだけどな。。ストーリーテラーを生業としてる人には、その先をもっと追求してほしんだよね。
その他、アニメではあまりフューチャーされてなかった、フィーの家族や過去の物語が凄く面白かった。これは仕事をしていると割とぶつかる壁でもあるので、社会人の方が共感できる話だと思う。
色々と突っ込み所はあるけども、全体としてはかなり質が高い作品。
大抵の人に何かしら考える種は埋め込んでくれる佳作だと思う。オススメです。