ピーター・クラインさんの著書。
前回書評した著書同様、「フォトリーディング」の講座で紹介された本。
本の概要は、一言で言うと、「人の可能性」について。
ターゲットは親、次に教師に向けて書かれており、子供をどう育てるか?がメインテーマ。ただし、書かれている方法論はたしかに子供向けではあるのだが、その理論は大人でも十分に活用が出来る。
著者はこの理論を企業に活用した「こうすれば組織は変えられる」という著書も出しているので、また機会あるときに読んでみようと思う。
目次は以下の通り。
PART1 新たな学習の可能性
第1章 子どもの脳が持つ無限の可能性
第2章 リラックスして、自然体で学ぶ
第3章 学習は3つの要素でできている
第4章 統合学習とは何か?
第5章 脳の個性に合わせた学習
第6章 統合学習の実践
PART2 学習に最適な環境をつくる
第7章 ナンセンスな労働観から自分を解放する方法
第8章 自分の力に合わせて学ぶ
第9章 望みどおりの人生にする
第10章 ネガティブな感情なんて吹き飛ばそう!
第11章 協力の喜び
PART3 学ぶことが大好きになる
第12章ちゃんと話を聞かない人たち
第13章 あなたが生まれてきてくれてうれしい。なぜかというと…
第14章 おとぎ話の本当の読み方
第15章 それって本当のあなた
第16章 記憶と創造性の深いつながり
第17章 詩人になってみる
第18章 助けを求めることはとても大切
第19章 心の底から思ったことを言う
第20章 自分の番は来たけど、ちゃんとできるかな?
第21章 無限のアイデア
第22章 ビジュアル思考で瞬時に記憶できる
「統合学習」は、一昔前に文部科学省が掲げて「ゆとり教育」を始め、大失敗に終わった学習方法だが、この本を読むとその重要性ははっきり認識できる。失敗したのはやり方がダメだったからで、この理論自体がダメだったわけではない。
まぁ、別に「統合学習」は難しい考え方ではなく、以前「「マルチ能力」が育む子どもの生きる力」の書評にも書いた、以下8つのマルチ能力(本では最後の「自然との共生能力」は無し)、
言語能力
論理的ー数学的能力
空間能力
身体ー運動能力
音感能力
人間関係形成能力
自己観察・管理能力
自然との共生能力
これを自立的に育むよう指導する、その理論と方法論だ。
この方法を進める上での鍵は、「自立心」と「楽しさ」だと考える。
「育てる」というと、「教え込む(詰め込む)」というイメージがあるが、そうではなく、自ら学ぼうとする意志が重要で、それには「楽しさ」が必要。
この具体的な方法は、たしかにやってみると楽しそう。
これを学校で、友達(仲間)と一緒にやれば、楽しみながら基礎的なことが学べると、たしかに思える。
「ゆとり教育」の失敗は、「最終的にどんな子どもが育つのか」というイメージを、親や周りの大人が全く共有出来ていなかったことが一因だろう。だから、ちょっと成績が落ちただけで右往左往し元の方法に戻ってしまった。文部科学省は、国の政策として取り上げるならば、これを国民に理解してもらうようしっかり「広報」すれば良かったのに(今巷で話題になってる「後期高齢者医療制度」も全く同じだけどね)。。自分達で出来なければ、代理店とかに頼んでしっかり広報してもらえばいいじゃん。。
ただし、受け取る側が全くの無関心であれば、それは国民側の責任。文科省をどうこう言う資格無し。
(教育政策に関心が無いというのは自分の感覚としては問題外だが。。これは全く別の議論なのでこの話はここまで)。
ここに書かれている具体例のいくつかは実践してみようと思う。
簡単なとこで「骨組みストーリー」とか「誰も知らない組み合わせ」とか。。
「感情表現スキット(劇)」はやってみたいが、これは一人じゃ難しい。。
これは劇団にでも入ってみるか?(笑)
今まで意識したことなかったけど、たしかに、劇は感情表現を練習するには最適。
普段「喜怒哀楽」のうち、「喜」と「楽」は割と表現するが、「怒」と「哀」はそれほど表現する機会が無い。しかし、劇中であれば、割と当たり前に表現する感情。この表現が役者の見せ所だったりするし。
この本は親や教師だけでなく、誰が読んでも何かしら得られるものがある。
少しでの「教育」に興味がある人や、自己啓発など「学習」に興味がある人に、一度読んでみることをお勧めする。