セドリック・クラピッシュ監督の作品。
この監督さんの作品、以前「スパニッシュ・アパートメント」という映画を観たことがある。オドレイ・トトゥ好きな自分としては、彼女が出てるので観たわけだが、結構面白かった。モラトリアム的な匂いがするというか、学園祭的なノリというか、そういう学生時代特有の雰囲気がスペインの土地と上手くマッチしてて、何か懐かしい気分になった。
で、他に「猫が行方不明」という作品もあり、こっちはずっと観たいなーと思ってて、こないだTSUTAYAに行ってみたんだけど、そもそも置いてない。。なので、こちらの「PARIS」を借りて帰ったというわけだ。「猫が行方不明」は今度ネットレンタルでもしようかしら。。
さて、この作品、大枠のストーリーは、心臓の病気で死ぬ可能性を(おそらく初めて)感じた主人公が、姉さんに世話を受けながら、PARIで普通に暮らす様々な人たちの生活と網目状に関わりながら、最後自分の死を受け入れる(受け入れたように見えた。。)、という流れで進む。
ミステリーのようなストーリーの起伏はなく、淡々と話が進んでいくんだけど、日々平凡な生活の中の心地よいリズムというか、何か・・・すごく良い。好きなリズム。なので、観終わった後、後味がかなり良かった。
作品では主人公と最後まで関わらない登場人物もいるが、そんな人達もPARIで普通に暮らしていて、それはすごく幸せなことなんだ。そのことは、最後の主人公の以下のセリフに現れてる。
「みな幸福に気づいていない・・」
「歩いて、息して、走って、口論して、遅刻して・・
なんという幸せ! 気軽にパリで生きられるなんて!」
この監督さん、ほんとにPARIの街が好きなんだなー、と監督の深い愛情を感じましたよ。
ちなみに、よく見ると主人公はロマン・デュリス。「スパニッシュ・アパートメント」の主人公役の人だ。後で調べてみてわかった。作品観てるときは全然わからなかったな。。
この手の話は東京とかでも成り立つとは思うし、似たような作品はあるだろう。けど、さすがフランス人、恋愛に関してはかなりオープン(笑)その辺り、フランス人特有の恋愛に対する気の軽さが、ストーリーに良い印象与えてた。主人公の姉さんも、当たり前のように離婚してて母子家庭(しかも子どもが3人!)って設定だったし。
この設定が日本では難しいんだよな。。。
母子家庭じゃ生活が相当苦しいし、婚外子の割合もフランスは50%と比べて、日本じゃ5~6%ほどだしね。結婚&離婚、子育てに対する国の制度の違いも大きい。恋愛映画でフランスの映画が良いなーと感じるのは、この日本との社会環境の違いが、かなり影響してるように思うわ。この映画観て改めてそう思った。
いずれにせよ、平凡な日々の生活を楽しめる人であれば、この作品は楽しく観れます。
今度は「猫と行方不明」か、「スパニッシュ・アパートメント2」が出てるようなので、こっちを観てみることにしよう。