中野京子さんの著書。
前作「怖い絵」の第2弾。
上の挿絵が既に怖い(笑)
(ちなみに、この絵はヤン・ファン・エイク作)
このシリーズは3作で完結。
前作「怖い絵」は書評も書いてるので、こちらへどうぞ。
(掲載されてる絵画へのリンク付き)。
中野さんの著書は「ハプスブルグ家12の物語」を読んだのが一番最初で、それから縁があってか、本屋で見かけて興味持ったこのシリーズを買った後で、「何とあの著者か!」と気づいた次第。
この方の文章はほんとに明快で、制作当時の歴史&文化を踏まえて絵画を紹介してくれるので、歴史書を読んでるような感覚で本を読むことができる。これは前作「怖い絵」も同様。誰でも知ってるような有名な絵でも、背景を知ることで違う視点を得て、全く違った作品に見えてくる。
例えば、ピカソの「泣く女」。
まぁ、有名な作品なので誰でも一度は見たことがある。
この絵のモデルは「ドラ・マール」。
ピカソの元愛人。
今までモデル名までは聞いたコトは無かった。それ程興味無かったってのもあるが。。
ピカソの恋愛暦は騒動酷かったようで、女性がインスピレーションの源だったらしく、60歳過ぎてもなお次々と新しい愛人を作っていたとのこと。もちろん、芸術家が一般的な「幸せ」など求めるはずもなく、相手女性の精気を吸い取れるだけ吸い取り、用済みになったらゴミのように捨てただろうコトは容易に想像される。そして、新旧愛人の修羅場。それすらも芸術の肥やしとしか考えなかったようだ。
まさに「人でなし」。
しかし、そんな「人でなし」が作った作品が、人に感動を与えることが出来る。
凄い。凄いのだが、たしかに「怖い」。
そんな「人間」が。そして、自分もその「人間」の1人であるということが。
こんな感じで各絵画それぞれにエピソードがあり、これがほんとに面白い。
ちょっと驚いたのが、一番最初に紹介されてるレンブラントの時代、「外科医」と「理髪師」が同じ職業だったってこと。言われてみれば、たしかにどちらも「外見を変える」仕事ではあるが。。同じにするか?うーーむ、、現代から考えると想像も付かない。
今回も期待を裏切らない出来。
文句無しにお勧め。
当然3作目も購入予定。
次はどんな絵画が紹介されているのか??
次回かその次辺りに、この書評で紹介できると思う。
以下は目次。
(各絵画は、画像のリンクもつけてます)
レンブラント『テュルプ博士の解剖学実習』
ピカソ『泣く女』
ルーベンス『パリスの審判』
エッシャー『相対性』
⇒エッシャーの公式HPはこちら
カレーニョ・デ・ミランダ『カルロス二世』
ベラスケス『ラス・メニーナス』
ハント『シャロットの乙女』
フォンテーヌブロー派の逸名画家『ガブリエル・デストレとその妹』
ベックリン『死の島』
ジェラール『レカミエ夫人の肖像』
ボッティチェリ『ホロフェルネスの遺体発見』
ブレイク『巨大なレッド・ドラゴンと日をまとう女』
カルパッチョ『聖ゲオルギウスと竜』
ミレー『晩鐘』
ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』
ホガース『精神病院にて』
ブリューゲル『ベツレヘムの嬰児虐殺』
⇒編集元の絵はこちら
ヴェロッキオ『キリストの洗礼』
ビアズリー『サロメ』
ファン・エイク『アルノルフィニ夫妻の肖像』