ニュートリノに関する諸々まとめ

毎週定期的に観てる「マル激ビデオニュース」。
ちょうど今週の回が、ニュートリノを扱った回だった。

ゲストは多田将さんという筑波にある高エネルギー加速器研究機構に勤められている準教授さん。金髪でえらく派手な人である。

最近ちょっとSF小説にハマりつつあり、宇宙や物理に興味が湧いてきてる自分の近況とも重なり、かなりタイムリーな話題でもあったので、すげー楽しく拝見させてもらった。

で、自分は元々理系志望だったが、高校物理が理解できず文系に進んだ人間なので、物理はほぼ覚えていない。そんな自分でも数式等は出てこない概念だけの説明だったのでかなりわかりやすかった。もちろんちゃんと理解しようと思ったら、この程度では理解したとも言えないんだろうけど・・自分のような素人には概念だけの方が理解しやすい。

せっかくなので、後で見返して思い出せるように、現時点で覚えたことをブログにまとめておこうと思う。

素粒子とは?

すごく基本的なところからスタート。
そもそも素粒子って何?

せっかくだし、ここからちゃんと整理していきましょ。。

まず、物質の構成要素として「分子」は理解している。
で、「分子」は「原子」から、また「原子」は「原子核」と「電子」から出来ている。そして、「原子核」は「陽子」と「中性子」で構成されている。この辺りまでは中学(高校じゃないよな?)の理科で覚えた記憶がある。

で、この「陽子」と「中性子」をさらに細かくすると「クォーク」になる。
この「クォーク」が素粒子だ。

「クォーク」には「アップクォーク(+2/3)」と「ダウンクォーク(-1/3)」の2種類があり、電子に比べて電荷が+か-かの違いがある。
ちなみに、「陽子」は「アップクォーク」×2個+「ダウンクォーク」×1個、「中性子」は「アップクォーク」×1個+「ダウンクォーク」×2個、と「クォーク」の構成比が違うだけとのこと。なるほど、その程度の違いなのか・・。それぞれ電荷はイコールではなく、中性子の場合足すと電荷0になるようになってる。よく出来てますね。

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で、CERNのHPから拝借したこの図を見ると、素粒子には「クォーク」と「レプトン」2種類あるらしい。

「レプトン」には「電子」と「ニュートリノ」がある。
ここでようやく「ニュートリノ」が登場する。ちなみに「電子」も素粒子なんだと。

つまり、一般的に「物質を構成する素粒子」というと、この12種類のことを言うらしい。
(この他に、エネルギーを伝える素粒子とかもあるそうだ。この辺は量子力学とかの範疇かしら?)

第2世代と第3世代の細かい説明は番組ではなかったけど、第3世代になるにつれて質量が重くなるらしい。あとミューオンは大気中に大量に存在しているとのこと。

では、この「素粒子」、特に「ニュートリノ」をどうやって作るのか?
それが次のテーマ。

ニュートリノの生成方法は?

以下の3つ方法がある。

①中性子の崩壊
②太陽による生成
③宇宙の放射線が大気と衝突して生成

「素粒子」は安定した粒子だが、「中性子」は「原子核」から取り出すと15分くらいで自然崩壊してしまう。その際に、「陽子」と「電子」と「(反電子)ニュートリノ」に分かれる。これが1番目の作り方。

また、太陽は「陽子」の塊だが、太陽の中で「陽子」4つが核融合して「ヘリウム」になる。その核融合エネルギーがお日様の熱さの正体なのだが、その際に2つの「陽子」が「中性子」に変わり、さらに「(電子)ニュートリノ」が生成される。これが2つ目。つまり、「ニュートリノ」は常に太陽が生成しており、毎秒600兆個も地球上に降り注いでる。全然意識できないけど。。。

あと、宇宙放射線(宇宙線)=陽子が地球の大気中の原子核とぶつかって、「ミューオン」と「ミューニュートリノ」ができる。これが最後の生成方法。前述した通り、大気中にミューオンが大量に存在してるのはこのためだ。

ちなみに、「ニュートリノ」は「neutrino」と書くが、これは英語の「neutral(中性の)」と、イタリア語の「ino(小さい粒子)」がくっ付いた造語。中性とは電荷的に中性、つまり電荷が0という意味。電荷が0ということは、他の物質とくっ付くことができないってこと。我々が何かに触れられるのは、我々の体の電子とその対象の電子が反発し合ってるからこそ触ることができる。

さて、そんな小さいな「ニュートリノ」だが、どうやって確認するのだろうか?

ニュートリノの検出方法は?

「ニュートリノ」はめちゃ小さい素粒子なので、どんな顕微鏡でも確認することができない。
なので、「ニュートリノ」を確認するには、他粒子とぶつかった際の反応を見る。

まず、「ニュートリノ」を生成する。
「陽子」加速装置で「陽子」をめちゃ早いスピードで加速させ、ある対象(原子核?)にぶつける。
そうすると、「ミューニュートリノ(粒子、反粒子とも:後述)」が生成される。

これは、上記③の生成方法、宇宙線が大気の原子核とぶつかって生成される仕組みを人工的に行っている。

数年前、ロン・ハワード監督の映画「天使と悪魔」(ダ・ヴィンチ・コードの続編)を観たときに、作品序盤で陽子加速器を使って反粒子を作るシーンがあった。映画では、その反粒子(物質)から反物質爆弾を作る、って流れで、この作品の重要なファクターになってたけど、この反物質を作るシーンが妙に印象に残ってた。これがまさに、この③を人工的に行った生成方法なわけだ。

この生成した「ニュートリノ」を「中性子」にぶつけると、種類(タイプ)によって「陽子」ともう1つの素粒子に分かれる。
それが上記図の「レプトン」の組み合わせになる。

「中性子」とぶつかることで、「電子ニュートリノ」は「電子」と「陽子」に、「ミューニュートリノ」は「ミューオン」と「陽子」に、「タウニュートリノ」は「タウオン」と「陽子」に分かれる。

そのぶつかった後の粒子で、どの「ニュートリノ」だったか(に変化したか)を検出するというわけだ。

最近色んなところでよく名前を聞く「スーパーカミオカンデ」。印象的な名前で覚えやすい。
これは、このニュートリノを検出するための装置。中身は5トンもの大量の水(超純水)が入った単なる筒らしい。

あと、この妙な名前の由来も初めて知った。
「かみお」って名前から来てるのこと思ったら(笑)、岐阜県の「神岡町」にあるから「カミオカ」なのね・・・で、最後のンデは「NDE=Neutrino Detection Exvironment」の略。なるほどねー。

「スーパーカミオカンデ」の写真は結構出回ってるけど、すごく幻想的な空間なのよね・・一度中を観てみたいもんです。

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ニュートリノの特徴

素粒子は12種類もある。
では、なぜ「ニュートリノ」がこんなにも注目されてるのか??

それは「ニュートリノ」のある特徴が理由らしい。

その特徴が「ニュートリノ振動」。

同じ素粒子である「クォーク」や「電子」は安定している。
しかし、「ニュートリノ」は、「電子ニュートリノ」⇄「ミューニュートリノ」⇄「タウニュートリノ」のそれぞれに変化するらしい。これが「ニュートリノ振動」。ニュートリノと名前が付いているが、この3つは全く違う素粒子。その異なる素粒子に変化してしまうのだ。

番組で多田さんがすごく熱く語っていたけど、たしかに考えれば考えるほどすごく変な特徴だ。
「ニュートリノ」よりも、さらに小さな素粒子でも無い限り説明つかないような・・。
まぁ、その辺りは優秀な科学者の方たちが日々研究してるだろうから、一般人としては新しい研究結果が出るの待ちましょう。

反粒子とは?

物理学用語で、この「反」が出てくると少し身構えてしまう。。
頭から煙が出るところである。

とりあえず今回の説明で簡単な概念は理解できた。

数式で、ある数値(変数)が左辺と右辺を移動する際に、+-が入れ替わる。
粒子と反粒子は、この関係性に似ているとのこと。
ある対象と鏡に映った対象との関係性とも言える。

反粒子は自然界にはあまり無いらしいが、わりと簡単に作り出せるらしい。

さて、「反」ってのは何が「反対(逆)」なのかって話だが、「電荷(Charge)」と「空間配置(Parity)」と「回転の向き」が逆とのこと。

「電子」は電荷持ってるからわかりやすい。-だから+になる。「陽子」と「電子」の空間配置も逆になる。さらに、素粒子は自転しているが、その回転の向きも逆になる。まさにある対象を鏡に映したように。で、「ニュートリノ」は電荷的に中性なので電荷の反転も無いし空間配置も変わらないが、「回転の向き」が逆になる。

これが「反ニュートリノ(粒子)」だ。

10

で、「粒子」と「反粒子」はペア(セット)になっている。
基本的に1つの「粒子」には1つの「反粒子」が存在している。

このペアとなる「粒子」と「反粒子」がくっつくと、消滅してすべての質量がエネルギーに変換される。これを「対消滅」と呼ぶ。
この消滅した粒子は質量0の粒子(=光子)になるわけだが、エネルギーは0にはなっていない(「エネルギー=加速度×質量」じゃなかったか?質量0なのに何故エネルギーが0じゃないのか?・・この辺りはよく理解できていない。。)。

「粒子」と「反粒子」の質量よりも多くのエネルギーが必要だが、この光子から「粒子」と「反粒子」が生まれることがある。これを「対生成」と呼ぶ。
何か物質を生成するには、この「対生成」は不可欠。つまり、これが起こらないと物質は存在し得ない。

宇宙に物質がある理由は?

この理論だと、「粒子」と「反粒子」が対消滅するにしろ、対生成するにせよ、どのみちペアなので他の物質が生まれる隙間が無い。
対生成には対消滅よりもエネルギーが必要なので、最後は「粒子」はすべて対消滅して何も残らないほず。。。

しかし、実際に宇宙には地球が存在しているし、我々も生きている。

これを説明する理論が「CP対称性の破れ」。

この理論は、簡単に言うと、「反粒子」が何かの理由で無くなって、そのペアである物質を生成する元となる「(素)粒子」が残った、ってこと。細かい理屈はわかんないけど、そのためにはクォーク6個は最低必要、って仮説段階で述べたことが後に実験で実証された。

なお、この功績で、この理論の提唱者、小林氏・益川氏両名はノーベル物理学賞を2008年に受賞している。
http://www.asahi.com/special/08-09/news2/TKY200812060174.html

最後に

まず初め、宇宙生成の際にビックバンが起こった。
この生成後10秒間に、様々な「粒子」と「反粒子」が生まれ、対生成と対消滅を繰り返した。
そして、何らかの理由で一部(10億分の2?)の「反粒子」が消えて「素粒子」が残り、「陽子」「中性子」が生成され、様々な「原子」や「分子」と成った。
その後、膨張する宇宙空間において、対消滅で生成された光子(波)は、対生成するエネルギーを失っていった。
(ビックバン宇宙論によると宇宙は膨張してるので、光子の波の間隔が長くなる=エネルギーを失うため)

なお、太陽より数十倍の質量を持つ恒星が寿命を迎えるときに超新星爆発が起こるらしいので、その際に新たな「粒子」と「反粒子」=「原子」は生まれてる・・のかな?

かなり大雑把にまとめてしまったけど、頭の整理はできた(・・ところどころ間違ってると思うけど。。)。

壮大な宇宙創成のこととか考えると良い感じでトリップできる。
日常の悩みなんか忘れてしまうくらいに。人間って本当に小さな存在です。

まだまだ学習必要だけど、これを機にこの手の情報をもっと集めて学んで行こう。

Category:  物理
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