「法令遵守」が日本を滅ぼす

郷原信郎さんの著書。

この方は元検事さん。つい最近の小沢民主党代表秘書の企業献金疑惑に対する検察の対応に疑問を持っておられ、毎週チェックしてる「マル激」にも出演されてた。番組でも紹介されてたので、興味を持って手に取った本。

「法令遵守=コンプライアンス」という言葉が使われるようになって久しい。自分の会社でも、J-SOX(日本版企業改革法)などの取り組みを進めているが、たしかに「法令」自体の是非についてはあまり考えた事が無かった。そのきっかけを与えてもらえたのは、この本を読んだ1つの成果。

J-SOXが対象とする「法令」は、「金融商品取引法(旧証券取引法)」の1部。その法令を遵守するための基準を企業側で設けて、監査法人に如何に遵守しつつ有価証券報告書が作成されているかを監査してもらう、という流れ。別に今まででも有価証券報告書は監査法人がチェックしてたが、それでは不十分ってことかね?まぁ、金融商品は海外の投資家も売買出来るのは当たり前の前提。それが世界の流れであれば、日本だけ乗り遅れるわけにもいかない。だからこそ、コンプライアンスを強化して、日本の金融商品の質の高さを示すのは重要なんだろうとは思う。金融経済は既に崩壊してしまったから、今さら感はあるけど(笑)必要なのは理解できる。

では、その「金融商品取引法」の中身は??
よく知らない。。

「法令」は我々が選んだ政治家が(官僚が作った法案を)国会で決議することで決定する。たしかに法律は守らなければいけない。しかし、その法律ってほんとに今の社会に適しているのか??それが著者がこの本で述べている主張の大筋。

法令(法律)は「社会の要請に答える」ためにあると著者は言う。納得納得。そりゃそうだ。

では、今の法令は社会の要請に応えているか?

個々の法令を考えると、一括りでは語れないが、冒頭で話した小沢民主党代表秘書の問題など考えると、「政治資金規正法」は明らかに答えていない。ただし、ライブドアや村上ファンド事件も同じだが、これは「法令遵守」の問題より、検察が身の丈以上の役割を担おうと、無理をし過ぎた結果の暴走なんだろうけど。。なので、これはちょっと別問題。「恣意的に法令を利用してる」ことが問題の本質なので。

今後もコンプライアンス強化の流れは徐々に進んでいくだろう。
本で述べられている労働法/個人情報保護法/独禁法/環境法/証券取引法/各種事業法など、様々な方面で。
その際に、ほんとにその法令って適切?と問いかける心構えは、この本を読むことで固まったと思う。

その1点だけでも、読む価値のある本。
価格は680円。180ページくらいで、短いので読みやすい。興味あれば是非読んでみてほしい。

以下は目次。

第1章 日本は法治国家か
第2章 「法令遵守」が企業をダメにする
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
第4章 日本の法律は象徴に過ぎない
第5章 「フルセット・コンプライアンス」という考え方
終章 眼を持つ組織になる

今のところ「「法令遵守」が日本を滅ぼす」にコメントは無し

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