牧野武文氏の著書。
タイトル通りの内容。
とは言っても、Googleは実は「悪の帝国」だった!なんて雑な話ではなく、Googleの今後の戦略は何か?現在Googleが行っている各施策は何を目的として実施しているのか?を、Googleの過去/現在/未来を交えながら、本当にわかりやすく解説されている。これは良著です!!
まずは目次。
第1章 不気味なグーグル
第2章 富が湧き出す仕組み
第3章 拡大・成長のための最強の戦略
第4章 成り立ちから読み解くグーグルの姿
第5章 グーグルと私たちの未来
まず最初に、Googleがどんな企業か、またそのビジネスモデルは何か(何で利益を生み出しているか)、が解説されている。
このあたり、IT業界で働き、昔からGoogleサービスにお世話になっている自分としては、新しい情報も無くたいして面白くなかった。
この本の肝は、なんと言っても、第3章「拡大・成長のための最強の戦略」。
この章がこの本の全てと言ってもいいと思う。
基本戦略は以下の3つ。
・Googleの利用者を増やすこと
・それぞれの利用者にもっとたくさん検索してもらうこと
・検索した人が広告までクリックしたくなる回数を増やすこと
その上で、グーグルの成長戦略として以下が挙げられている。
1.トラフィックを買う
2.海外に展開する
3.インターネットを普及させる
4.モバイル利用を拡大させる
5.行動ターゲティング広告にシフトする
かなりシンプルな戦略。
世界人口「68億人」のうち、インターネットを利用できるのは「19億人」程度、「3.5人に1人」しかアクセスできない。残りの「2.5人」を如何にインターネットにつなげてGoogleを使ってもらうか・・Googleの戦略はこれに尽きる。「1検索辺り20セント~30セント(17~25円)」というビジネスモデルなんだから、母数を増やせば良い。至極当然の戦略。
昔からあるサービスGmail、Google Talk、Google Calendar、Google Documentなどをまとめた「Google Apps」や、「Google 日本語入力」、無料の「Chrome OS」や、最近日本でも流行りかけている「Android携帯」、自分は今まで気づいてなかったが、プロフィールにある「Web履歴」機能(これスゴイわ・・アカウント取られたらマジで趣味嗜好とか全部わかっちゃうわ。。)」など、たしかに全てこの目的に繋がっていると実感できる。
「プライバシー」や「著作権」問題など、乗り換えなければいけない壁はまだまだあるのだが、何十年も変化が無いこれらの概念に関しても、いずれ何かしら「変化」を起こすだろうと予感させる。。だから、Googleの動きは面白い!!!
最後の章で、Googleが善か悪か、Googleは今後「変節」するかどうか、的な問いかけがされているが、正直どっちでも良い。自分はそれを決定できる立場に無いので。選挙でGoogleのCEOを選ぶわけじゃないしね(笑)理念を掲げているとはいえ、基本は営利目的の企業なわけだし。その上で最適な策をGoogle社の人達が考えて実行してくれれば良い。
私は昔から、Gmail/Google Map/Google Calendar/Google Readerなどなど、Googleのサービスには大変お世話になっている。Googleが無いと生活できないくらい(笑)何より、IT業界で働く身として、理念を掲げ、それを実践しており、なおかつ儲かっている企業である、という状況が本当に羨ましい。プログラマーにとって最高に働きやすい、という環境作りや、仕事時間の20%は次のアイデアを生み出すための時間に充てるという20%ルール、Google EarthやストリートビューやGoogle Books検索などの新サービスなど、魅力的な要素がGoogleには本当にたくさんある。
しかし、一般の人には、Googleという会社が何をやっているのかよくわからない。
所詮ネット、実態の無いモノを売ってる怪しげな企業でしょ?なんて考えの人もまだいるのかもしれない。
そんな人がGoogleがどんな会社かを知るのに、またGoogleをよく知ってる人も、今後のGoogleの戦略を知るのに、本書は最適。日本では昨年2010年12月にYahoo検索がGoogleエンジンに完全に代わり、いよいよGoogle支配が強まってきた。ほぼ検索ポータルとして一人勝ち状態(・・独禁法に触れてると思うんだけどね。。)。
そんな今の状況だからこそ、読んでおいた方が良い。