Googleクラウドの核心

Googleのクラウド技術の基礎について書かれた本。

著者はルイス・アンドレ・バロッソとウルス・ヘルツル。
おそらくGoogleの社員だと思われる。

さて、最初に以下に目次を記載。

第1章 イントロダクション
第2章 負荷とソフトウエア基盤
第3章 ハードウエアの構成要素
第4章 データセンターの基礎
第5章 エネルギーと電力の効率
第6章 コストのモデル化
第7章 障害と修理への対応
第8章 WSCの課題

最後、8章に書かれている「WSC=Warehouse-Scale Computers」というのがポイント。
要するにサーバなどを格納している「データセンター」のこと。

「WSC」が通常のデータセンターと異なるのは、その建物含めて設計していること。
データセンターを一から建設する際に、電力(エネルギー)装置や冷却装置なども配置する必要があり、実はその2つが物理的スペース以外にも、費用面でも、かなりの割合を占めるということが、この本を読むとわかる。

この本を、今流行りの「クラウド」について書かれた本だと思って読んではいけない。
いや、実はまさにタイトル通り、その「クラウド」の核心について触れた本ではあるのだけど、技術的な本だけに、素養の無い人はおそらく誤読する可能性が高いと思う。

Googleの「クラウド」については、たしかにこの本を読めばわかる。

それは、ずばり「データセンターの運用」。
本書でデータセンターの構造や、電力エネルギー、冷却装置など、ハード的の話に8~9割くらいページを割いていることからもそれは明白である。

もちろん、ハード的な面だけではなく、ソフト的な面も重要なのだが、この本ではソフト面はあまり触れられていない。私としてはソフト面のコトが知りたくて手に取ったので、そういう意味では期待外れ。しかし、結構面白かった。

以前このブログで「クラウド」についてまとめを書いた。
※詳しくは以下をご覧ください
アップル、グーグル、マイクロソフト

このまとめブログに書いた概念の中で、Googleの「クラウド」は、”PaaS”か”SaaS”を意味しているが、その3層の中で「ハードウェア」部分を詳細に説明したのが本書だと言える。この本を読んで、”クラウド”の「ハードウェア」というからにはここまで考えて管理しなくちゃいかんのか。。と、ちょっと「ハードウェア(”IaaS”)」に関して見方が変わった。

なお、日本では、例えば大手SIerなどが「クラウド」と言ってるとき、この中のどの「クラウド」について話しているかをしっかり理解しておく必要がある。

私は「クラウド」は”PaaS”以外あまり意味が無いと思っている。
“SaaS”なんて、単にそのサービスを享受するだけだし。通常のGoogleサービスはほぼ全て”SaaS”だ。で、”IaaS”は単なる「ホスティングサービス」・・だと思ってた。しかし、この本で詳しく説明されてるような、「WSC」としての”IaaS”だと意味が全然違う。なるほど、これが「クラウド」の”IaaS”で求められるレベルなのかと、ちょっと目から鱗が落ちた。Amazonなんかは、まさにこのレベルで”IaaS”サービスを提供してるのだろうなー。。

ちなみに、この本の細かい技術的な箇所はもちろんすべて理解していない(笑)かなり専門的なので。今後、仮にデータセンター管理含めてサービス行うことがあれば、改めて読みなおしてみようと思う。

あまり一般受けしない本ではあるが、今後ウェブ業界で働く技術者であれば、今後のハードウェア的な趨勢を理解する上で一読する価値が十分ある。

160ページくらいの短い本なので、割とすぐに読めると思います。

今のところ「Googleクラウドの核心」にコメントは無し

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