森時彦さんの著書。
前作「ザ・ファシリテーター」で、「ファシリテーション」の概念を学ばせてもらった。
その後編。
小説形式は前作と同様。統合リーダーとして買収企業先に赴任した主人公リョウが、どのように上手く問題を解決するか?この辺も楽しみにして購入したのだが、いきなり違う会社の新しい登場人物が出てきて意表を付く。上手い展開だな(笑)小説としての面白さはそれ程期待してなかったけど、段々著者も物語に慣れてきたのかしら?
さて、肝心の「ファシリテーション」についてだが、今回は前作とは違い、より実際の業務に「ファシリテーション」の技術を落とし込む際に発生する問題点にフォーカスしているように感じた。MBA的な理論などは、どうしても頭でっかちな印象を受けてしまう。それだけで反発の対象となる。そして、そういった先入観が、現場の人間にその理論を受け入れ難くさせる。
結果、「全く現場のことも知らないで…ヤレヤレ」という面従腹背。
しかし、これは組織としてもったいない。無駄なコストを払っている。
会社(組織)は、1チームとしての相互理解と協力が必須。どちらも大事。その方法論を形にしたのがMBA的な理論。ファシリテーションもその1部なのだろう。理論と実践の間を埋めるための方法論と言ってもいいかもしれない。
本書では、前作と違い、物語の合間で著者が解説する事例が多く載っている。これも実務への落とし込みを理解させる一助になっている。
今回も前作同様楽しめた。ただ、「ファシリテーション」に関しての、新しい知見というのはあまり受けなかったが。。
最近、会社で会議の進行などを行う際に、「ファシリテーター」たらんと考えるコトが多い。しかし、大変難しい。
良い「ファシリテーター」たるには、「効果的な質問」が必須。
これが全てと言い切っても間違いではないように思う。色んな視点を意識しつつ、進むべきプロセスへ導くための質問をする…これは今後もっともっと経験を積んで、いつかはリョウのような良い「ファシリテーター」になりたいな、と本気で思う。
技術的な方法論で役に立ったことは以下の2つ。
1つが「PREP法」。
「Point:結論 ⇒ Reason:理由 ⇒ Example:事例 ⇒ 再度、Point:結論」、という流れで説明をすれば、プレゼンなどで簡潔に他者に自分の考えを述べることができる。クリスタルシンキングの手法の1つ。
もう1つが「FRCPの法則:消費者の満足度」。
これは、消費者が商品を選ぶ際に、何に対して満足を感じるかを順番に並べたもの。
「Functionality:機能 ⇒ Realiability:信頼性 ⇒ Convenience:便利さ ⇒ Price:価格」という順番。
これは大変実感できる。実は「Price:価格」が一番最後というのも面白い。
しかし、自分がユーザとして考えた場合、実は当たり前。
1つ事例を挙げると、私は最近「デジカメ」を買い換えようかと検討してる。
色んなメーカーから様々なデジカメが発売されている。
購入する際に重視するポイントも複数。「価格」「軽さ」「薄さ」「解像度」…などなど。
しかし、私が一番重視するのが「Bluetooth」が使えるかどうか?
MacのPCは基本Bluetoothでワイヤレスキーボードやマウスなどを接続している。よって、デジカメにBluetoothが内蔵されていれば、有線しなくても無線でデータをPCへ取り込める。これは大変便利。赤外線も無線の技術ではあるが、データ容量と通信距離に問題がある。Wi-Fiが使えるのが一番良いが、デジカメにWi-Fi機能を付ける技術は確立されてるのか不明。(後で調べたら既に市場に出ている。ので、これが一番低コストでデジカメから無線通信できる。ってことで方針転換(笑))
ということで、「Bluetooth」が使えるデジカメを探したのだが、コンパクトサイズでBluetooth内蔵型は何と1台のみ。Kodak製品。しかもアメリカのみの販売。やはりと言うか(笑)、Yahooオークションでは販売されていたが価格は約5万円ほど。これは通常のデジカメと比べるとかなり割高。
そこで「FRCPの法則」。
コストが高いから諦めるか??
いや、絶対に無い。「コスト(Price)」は諦める理由にはならない(・・100万円とかなら別だけどね)
欲しい「機能(Functionality)」が最優先。「信頼性(Realiability)」「便利さ(Convenience)」も機能より優先されるコトは無い。
これは大変便利なフレームワーク。
今後活用させてもらおう。
事例が長くなってしまったので本題に戻す。
おそらく、今後「ザ・ファシリテーター3」が発売されることは無い。これで完結。そして、2部作を読んで、「ファシリテーション」の概念は理解できたと思う。
あとは実践あるのみだ!!!
実はこれが一番の課題だったりもするのだが、場を作るなり、場を求めるなりの「行動」を起こそうと思う。「ファシリテーション」を学びたい&実践したい人間が、「行動」をためらっていても話にならない。
前作に引き続き、良い学習をさせてもらいました。
以下は目次。
プロローグ 解けない問題を解ける形に変換する
第1章 演出する危機
第2章 行動を変えるために
第3章 グループの思考プロセスを診る
第4章 クリスタルシンキング
第5章 ポストマージャー・インテグレーション
第6章 本社研究所崩壊
エピローグ バリキャリのご褒美