霞ヶ関埋蔵金男が明かす「お国の経済」

髙橋洋一さんの著書。

久々に政治関連の本を読んだ。

氏は元財務省官僚で、小泉内閣では、竹中平蔵氏と共に霞ヶ関官僚と対決し、公務員制度改革にも尽力されている。

この本は非常に簡単な構成で、値段も700円だし、ページ数も176Pほどなので、スラスラと読める。しかし、内容はかなり重要。衆議院総選挙、民主党への政権交代の可能性もかなり高くなってきた現状だが、何より重要なのは「公務員制度改革」なんだなと、この本を読み改めて理解した。

目次は以下の通り。

まえがき
第一章 「埋蔵金」とは何か
第二章 国のお金はどう動くのか 財政編
第三章 国のお金はどう動くのか 金融編
第四章 公務員制度改革の戦い
第五章 国家を信じるな

最近よく聞く「埋蔵金」だが、要するに企業の会計で言えば「内部留保」、つまり余剰金(積立金)。まぁ、要するにお金が余ってるってこと。

例えば、ある上場企業がビジネス活動において利益を生み、余剰金が10億円ほど貯まったとする。しかし、そのお金を株主への配当へ回さずに、新たに株を発行して市場から2億円取得して新規事業(設備投資など)を行うとしたら、あなたが株主だとしたらどう思うだろうか??

今の政府の状況がまさにそれ。余剰金があるのに、増税増税と言ってる。氏は要するに「使えるお金があるなら増税する前に使え!!」と言ってるだけ。誰が聞いても納得できる。

で、その事に猛反対してるのが官僚。
これもシステムを理解すれば当然で、利権を得ているから。なかなか手放そうとしない。

だからこその「公務員制度改革」ってわけだ。

財政と金融の話の中で、「マンデル・フレミング理論」というの知ることが出来たのが、この本を読んだ一番の果実かな。。これは「財政政策」「金融政策」と「固定相場制」「変動相場制」の関係性を説いた理論なのだけど、「固定相場制」の場合は「財政政策」しか効かないし、「変動相場制」の場合は「金融政策」しか効果が無いということらしい。随分わかりやすい理論だな。。

つまり、「変動相場制」である現在では、公共投資など「財政政策」はやっても無駄というわけだ。

理屈としては、「財政政策」を行う場合は原資は国債になるわけだから、国債を発行して民間からお金を調達すれば、金利が上がる。金利が上がれば円高になり、輸出企業は打撃を受けて、公共投資して景気を刺激した効果を相殺してしまうというわけだ。逆に、「金融政策」であれば、消費者物価の安定が日銀の責務なわけだから、物価指数が2〜3%まで上がれば、物価を抑えるために金利を上げればよく、それまでは基本的に金利を下げておけば良いとのこと(インフレ・コントロール・ターゲッティング)。ほんとわかりやすいな(笑)

経済学には疎い自分なので、物価指数2〜3%という目標数値に妥当性があるかどうかは判断できないが、少なくとも日銀に対して「目標」を設定させ「手段の自立性」を担保して責任を明確にするという、「方法論」については納得できる。

しかし、この理論を前提に考えると、この10数年「金融政策」を失敗し続けてる日銀の功罪はほんとに大きいな。。企業(主に海外への輸出企業)がどれだけ努力しても、日銀の「金融政策」失敗で輸出減、株価急落、儲けがほとんど吹っ飛ぶ…なんてことを繰り返されると、日本から脱出したくなるよな。。

いずれにせよ、現在のシステムの構造的欠陥の根幹は「公務員制度」だ。それはこの本からだけでなく、色んな情報やデータを総合的に考えても間違いない。

自分は次の選挙では民主党に投票しようと考えているが、それはマニュフェストが良いからとかではなく、「政権交代が無い」という現状があまりに馬鹿げているから(…今の自民党に期待する事は何一つない)。

仮に民主党が政権を獲ったとして、その後民主党を評価する大きな指標として、この「公務員制度改革」にどれだけ切り込めるかで、自分の民主党に対する評価は変わってくるだろうと思う。

今のところ「霞ヶ関埋蔵金男が明かす「お国の経済」」にコメントは無し

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