「借りぐらしのアリエッティ」

スタジオジブリの最新作。

宮崎駿監督ではない。米林宏昌という方が監督を務めている。初監督作品。

宮崎監督は昔からこのコンセプトの映画を創りたいと語ってた。小人や昆虫の目線で世界を眺めた作品。なので、間違いなく宮崎監督が企画して作られた作品なんだろう。。

だからこそ、残念。。

ストーリーが残念だったのではない。
割と単純な出会いと別れを描いた作品だし、作品自体のスケールが小さいのも、そもそも主人公が住んでる世界が小さい(狭い)ので致し方ない。話としては上手くまとまってたと思う。

セシル・コルベルの音楽は本当に良かったし。

もちろん突っ込み所が無かったわけじゃない。
というより、かなり多かった。

まず、主人公のアリエッティがあの庭だけで生きてるって設定がそもそも信じられない。なぜ外へ出ない!?
それに、あんな広い庭付きの一軒家なんて最近どこにも見かけない。リアリティが全く無い。
あと、アリエッティの初の狩りでティッシュペーパーを採ろうとしたとき、翔と目が合うのは都合が良すぎる。あの部屋じゃなくてもティッシュくらいあるだろうに。。

何より、未来少年コナンのジムシィや、トトロのネコバスを、ほぼそのまま使い回してるところはさすがに呆れた。

ただ、小人ならではの小道具、髪留めとか、1滴のお茶とか、お洗濯の仕方とか、アリエッティ達のお家の家具とか、細かいところでは楽しさがあった。その辺りの演出は良かったと思う。

しかし・・・自分が何より残念だったのは、やはりジブリは宮崎駿しかいない、という事実。
この天才の存在が大きすぎて、若手が全く育たない。育っていない。

他の有望なスタジオでは実力ある若手アニメ監督が何人かいるが、ジブリにはいない。
宮崎監督がストーリーテラーとしての立場をある種諦めてる(開き直ってる)のは、「ポニョ」を観ればよくわかる。「ポニョ」はストーリーが完全に破綻してる(・・ある意味、「アニメ」は子供のためのもの、という立場をより明確に示したのかもしれないが。。)。なので、今後宮崎監督作品でワクワクするようなストーリーの作品は期待できない。

それでは若手に期待できるかと言うと、今回のアリエッティはストーリーは平凡そのもの。良くもなく悪くもない。

しかも、宮崎監督がこだわってきた「キャラクターの動き」も、今回のアリエッティは明らかに質が落ちてた。
まぁ、これは仕方ないのだが。。子どもの頃に外で遊んでいない若い人達がアニメーターになれば、いくら「絵」自体がうまくても、面白い「動き」は表現できない。私は「アニメート」=「動きの表現」だと思うのだが。。宮崎監督の昔の作品「名探偵ホームズ」とかは、キャラクターの動きを観てるだけで本当に楽しい。こういう作品作る(作れる)人達は、おそらく日本ではもう居ないのだろう。。

ストーリーテラーとしても、「動き」を表現するアニメーターとしても、次の世代を担える人材がいない。
かと言って、Production I.G.のようなCGを駆使した作品を作るわけでもない。。

残念だったのは、スタジオジブリの限界を、今作品でまざまざと見せ付けられたこと。

宮崎駿ファンの私としては、宮崎監督に少しでも長生きしていただき、良い作品を少しでも残していただきたいと願うばかりです。。

【関連サイト】
「借りぐらしのアリエッティ」公式HP

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