2014年
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2014年

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1965年のインドネシア。

インドネシアの初代大統領スカルノ(デヴィ夫人の旦那さん)の親衛隊が軍事クーデター事件を起こした。後に「9・30事件」と呼ばれる出来事。

クーデター自体は失敗に終わったようだが、スカルノはこの事件を機に退任、クーデター首謀者のスハルト(少将)はその後実権を握り第2代大統領へ。そして、国内の共産党を徹底的に弾圧し、インドネシア共産党を壊滅へ追い込む。

その共産党弾圧の際に、100万人?(映画では100万人と言っていたが、人数は諸説あるらしい。)もの人達が殺されたようだが、その実行を担った「プレマン」と呼ばれる、日本で言ういわゆるヤクザ達。そのプレマンは何と、インドネシア国内では今も共産主義者を殺した「英雄」として扱われているらしい。

この映画は、そのプレマン達が過去の自分たちが行った虐殺の再現を映画として撮る、その過程を映したドキュメンタリー映画だ。 ⇒ 続きを読む

久方ぶりのブログ更新。

で、ネタとしては音楽。

ニコニコ動画で、かなりクオリティ高いボーカロイド楽曲(この時代はハチという名前)で有名になった米津玄師さんが2014年4月に発表した新アルバム「YANKEE」、このアルバムが良過ぎます。

試聴してこれはハマるなー、と思ってた。
で、レンタル当日に借りに行き、聴いてみた。
全曲がA面(今時使わない表現だとは思うけど。。)のようなクオリティ!!捨て曲がほぼ無い。
それから本当に毎日ヘビーローテーションで聴いてる。それぐらい良い。この人天才です。

4曲目の「アイネクライネ」はPVも良いんだけど、この人、PVのイラスト(アニメ)も自分で制作してる。これはボーカロイド時代からずっと一緒。すげー多彩な人。

前作のアルバム「diorama」も好きな曲が多くて素晴らしいアルバムだったけど、今回はそれ以上。
曲としても親しみやすいというか分かりやすい。

しばらくこのアルバム聴いて生活しよう。

とにかく実際に聴いてみて欲しい。

なお、過去のPVとか観たい方はこちら。

米津玄師 ハチ OFFICIAL CHANNEL
(「ゴーゴー幽霊船」や「vivi」、「マトリョーシカ」とか超オススメです。)

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ザル・バトマングリ監督、ブリット・マーリング主演の映画。

どちらも聞いたことが無い名前だけど、何と主演のブリット・マーリングは脚本にも参加している。そして20代かと思ったら31歳とのこと・・まさに才女。演技も素晴らしかったし、この映画でしっかり名前も覚えた。役者としてだけでなく、作り手としてもこれからが楽しみな女性です。

ちなみに、公式(?)サイトはこちら。
http://www.foxmovies.jp/theeast/

さて、この映画は、アメリカの民間情報(諜報)機関に転職した主人公サラが、環境テロ団体「イースト」へ潜入捜査に入るところからストーリーが始まる。

面白いのがこの民間情報機関。なんと実在のモデルがある。
ストラトフォー(STRATFOR:Strategic Forecastingの略)」と呼ばれる組織。

アメリカのCIAは政府の諜報機関として有名だが、国営だけでなく民間の諜報機関まであるのが驚きだ。戦争の民営化は現実に進んでいて、国を後ろ盾とした軍だけでなく、民間会社の傭兵が様々な戦地へ赴き商売を行っていることを、知ってる人は知ってる。しかし、まさか諜報機関まで民営化されていたとは。。

政府の諜報機関は当然国のために情報を集めるわけだが、民間の諜報機関は企業のために情報を集める。ある特定企業に害を及ぼそうとしている個人/組織がいれば、被害を受けそうな企業がクライアントとなり、その被害を事前に防ぐことが諜報機関の目的となる。

この映画の中で、主人公サラは様々な葛藤に苦しむ。

公害を出しても公表せずに何事も無かったのように利益をあげる企業、手段は間違っていたとしても目的は正しい環境テロ組織、そして、諜報機関の潜入員としての自分の責務。

葛藤に苦しんだ結果サラが下した結論は正しいと思う。
環境テロはどんなに目的が正しくても起こすべきではないと私は思うので。
しかし、この背景を理解した上で映画を観ると、サラの心の変遷を描く縦軸のストーリーが重要なのではなく、そもそも「民間の諜報期間」など成立するのか?という構造的な問題を考えてほしい、という制作者の意図が感じ取れる。
(こういった社会的な問題を真正面から描けるところが、アメリカ映画の底の厚さを感じさせるな。。)

政府の諜報機関なら理解できる。色々と各国の諜報機関に問題はあるとは思うが、あくまでその組織は「国」のために存在する。その行動は国民のため(であるべき)だし、「正義」という建前も立てやすい。しかし、民間の組織だと、会社である以上は「利益」を上げることを目的とせざるをえない。

映画の中でも、サラの上司は、被害を受ける人達よりも会社の利益を優先すべき、という言葉を発する。
倫理的に正しいかではなく儲かるかどうか。民間の会社であれば当然と言える理屈。企業が腐る一番の理由でもある。

しかし、それでいいのだろうか?

サラの悩みの根本はそこにあるように思える。
(サラの前職が政府機関のFBIという設定もその伏線だろう。)

諜報活動というのは要するに「スパイ活動」だ。しかも、「予防」という性質上、どうしても「先制的」にならざるをえない。何か問題を起こすという「可能性」があるだけで相手を攻撃できる。そんな重要な役割を、「利益」を目的とした民間企業が担えるのだろうか?

この映画のラストでサラが出した答えは、その解答のような気がする。

だからこそ、私は共感する。

Screen Shot 2014-01-25 at 16.40.44ふっと、iTunes Storeで試聴して、いきなりハマってしまった。

それが「ヒトリエ」。
オフィシャルサイトは以下。
http://www.hitorie.jp/

なかなか変わった経歴を持ってるミュージシャン。
米津玄師さんもそうだけど、ボーカロイド出身のミュージシャンがメジャーに当たり前に出てくるようになった。ボーカロイドなんてオタクでしょ?という色眼鏡を持ってる方は、何の先入観も無く音楽を聴いてみると良い。その上でご判断を。

さて、購入したのは「センスレス・ワンダー」という曲。
かなり一発で気に入った、良い曲です。

で、iTuens Store見てたら、「ルームシック・ガールズエスケープ」というインディーズのアルバムがあるみたい。さっそくTSUTAYAで借りよう、と思ったけど・・どこにも在庫が無い(笑)まぁ、インディーズアルバムだしな。。しゃーないので、久方ぶりにiTunesでアルバムを購入。

結果、買って大正解!!素晴らしいアルバムです。

ただ、困ったのが歌詞。
デジタル購入なので当然歌詞が無い。そして、普通のメジャーなアーティストであれば当たり前にWeb上に存在している歌詞がどこにも無い!!「センスレス・ワンダー」はメジャーデビュー曲なのでさすがにあったけど。。

何曲かは歌詞見つかったけど、どこにも見当たらない曲もある。
こりゃ、曲聴きながら自分で歌詞を書き留めるしかないか。。

ということで、せっかくなので、書き留めた歌詞を公開させてもらいます。
「ヒトリエ」にハマり始めた自分と同じような方々が活用してくれると嬉しいです。

⇒ 続きを読む

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最近の日本には、相対的な価値観が蔓延してると思う。

「俺は良くないと思うけど、まぁ、その人が良いと思ってるんなら良いんじゃない?」みたいな、何かを失うことを恐れて全ての価値を相対化する風潮。

そんな時代だからこそ観るべき映画。

ナチスのユダヤ人虐殺を実行したアイヒマンの裁判を論評した、同じユダヤ人の主人公ハンナ・アーレントにまつわる顛末。

この裁判自体、東京裁判なみに公平性の無い見せしめ裁判なので、日本人としての自分は論じる価値は無いと思うんだけど、ユダヤ人の感情的回復を図るには重要な「儀式」だったんだとは思う。

そこに一石を投じたのが哲学者のハンナ・アーレント。

アイヒマンは官僚としての立場で機械的に虐殺命令を実行しただけで、そこに意志は無かった。悪いのは実行したアイヒマンではない、というのが彼女の主張。

彼女の言う「悪の凡庸さ」。
この恐ろしさを理解できるかどうかが、この作品を観る上での鍵。

今現在仕事をしていても感じる、官僚的な組織(会社)の思考停止状態。個人的な良心はあっても役に立たない。集合としての意志というのか、合成の誤謬とい うのか、誰も望まないのに何故か全体として悪い方向へ進んでしまう。別に当時のドイツ人が特別だったわけじゃなく、人間の組織であればどこでもどんな時代 でも起こりえる話。だからこそ恐ろしい。

そして、よくどこかの政治家が言う「絶対的な悪」など、くだらない宗教(空想)上の概念でしかない、ということが、この作品観るとよくわかる。

身の回りの友人関係を失ってでも真実を追求する、という哲学者としての彼女の姿勢に共感&感動する。
(・・作中のハンスとは後に和解したらしいけど。)

それこそが絶対的な価値だな、と私は作品を観て思った。