11月
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2013年11月

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園子温監督作品。

1997年にこの作品の舞台ともなっている渋谷区円山町で起こった「東電OL殺人事件」をモチーフにしてるらしいが、あくまでモチーフで特に関連も無いし、ドキュメンタリー映画でも無い。

ストーリーは、殺人事件の解決が縦軸ではあるんだけど、そこの解決とか犯人は正直どうでも良くて、描かれているテーマとしては、「女性の性」、だと思う。言葉にできない身体が感じる「欲望」としての性。なので、作品通してエロス感が半端無い。しかし、裸やセックスシーンがスゴい、というのももちろんあるんだけど、言葉で表現できない以上、身体でそれを表現するしかない。だからこそのこの表現なんだろうな、と思う。それこそが、映像化=映画の醍醐味でもあるわけだし。

この映画では、下品の極みに落ちた女と、貞淑な妻から底へ落ちて行く女、そして、落ちかかっている女、という女性3人が対照的に描かれている。

富樫真、神楽坂恵、水野美紀という3人の女優が演じているが、やはり圧巻は富樫真。ほんとスゴい。
この作品の主人公は水野美紀演じる和子、という設定みたいだけど、どう考えても富樫真演じる尾沢美津子が主人公だ。これ以上書くとネタバラしになるから、ここまでに留めておくけども。。

カフカの「城」も題材として登場する。
どこまで行っても辿り着けない城。「女性の性」の暗喩なんだろう。落ちても落ちても「城」には辿り着けない。どこまで落ちても、登場人物の女性達は満足していないし、もちろん「幸せ」も掴めない。

男性の性も若干作中で扱ってはいるけれど、女性のそれに比べて、何とも底が浅い。
自分が男だから余計そう感じるのかもしれない。暴力的で、くだらないフェティシズム。哲学的な意味も無い。

最後の水野美紀扮する和子の台詞が印象的。

「今どこにいる?」「わからん」

他2人の登場人物は底まで落ちて行き着くところまで辿り着いたって感じだが、この和子はまだその途中。とりあえず「城」が見えるところまでは来た。ここがどこなのか?自分はどの位置まで落ちているのか?それが本人もわかっていない。だから「わからん」と答えた。

この先、「城」へ入って落ち続けるかどうかは本人次第。

これが園監督が伝えたいメッセージなのかな?と自分は感じた。

不倫は、おそらく男女問わずかなり多くの人が行っている行為ではあるが、「性」という欲望に身を委ねても果てしなく落ちていくだけ。「城」が見えるくらいのところで止めておけ。そういうメッセージなんじゃないだろうか。

だからこそ、タイトルが「恋の罪(Guilty of Romance)」なんだろう。「愛の罪」じゃなく。

たしかに、ロマンスを求めた果ての顛末ではある。3人とも。

色々と考えさせられた映画。
で、観終わった後に、なんか圧倒されてちょっと気持ち悪かった。酔ったというか。。。
こういう気分を感じる映画は久しぶり。

さすがです。園子温。