からだの取扱説明書

呉清忠氏の著者。

陰陽道とは何か?」を読んで、陰陽五行論についてさわりだけ理解した後に、その陰陽五行論を健康管理に使う理論を知りたいと思い手に取った本。陰陽五行論を活用した健康管理=中国の医学、つまり「東洋医学」の解説書と言ってもいいかな?

著書はシステム工学を学んでおられ、その考え方を陰陽五行にも応用して解説されている。自分はシステム工学は学んではいないが、コンピュータ業界にいる身なので、その説明はすごく理解しやすかった。

以下は目次。

序章 中国医学をシステム工学の立場から見てみる
第1章 現代医学への素朴な疑問
第2章 「陰陽五行説」は人体のシステムをトータルに捉える
第3章 「血気エネルギーシステム」を熟知して健康を保つ
第4章 体の冷え「寒気」こそ、万病の素
第5章 病気の原因を正しく知る
第6章 健康を維持するために日常生活で注意すべきこと
第7章 肥満を根本的に解消する
第8章 慢性病は、こうして改善する
終章 西洋医学だけに頼っていると、健康で長生きはできない

この本の肝はこの図。
本書で紹介されてる図を若干編集してまとめてみた。



体の「自己修復能力」を手助けする
という考え方が中国医学の肝と言っていい。
無理やり「改造」する西洋医学との一番の違いでもある。

「五臓六腑」と「四肢五官」(「五臓六腑」の病気は「四肢五官」に症状として現れる)、各機能別の機関、経絡/血管/神経/リンパシステムなど、からだ全体を1つの完全なシステムとして捉える。コンピュータシステムと同じ。大変わかりやすい。

「血気」エネルギー、つまり「血液」の量を増やすという考え方も、中国医学の面白いところ。人間にとっての血液は、車にとってのガソリンに当たる。だからこそ、血液を造り出す「睡眠(早寝早起き)」を重視し、血液がより流れやすくなるよう「運動」を進める。体の冷え「寒気」こそ万病の元、という考えも同じ。「血液」が流れなくなると体は冷えるし、肩だけでなく様々な箇所でコリも出てくる。

この「血気エネルギー」には5段階あるとのこと。
「健康」⇒「陽虚」⇒「陰虚火重」⇒「陰陽両虚」⇒「血気枯渇」の5段階。

日々作られる「陽」が無くなり、ストックされた「陰」が無くなり、その両方が無くなって代替物で補い、最後は血気そのものが無くなる…という段階。フローとストック、借金(代替物)、最後は破産と、経済の概念が応用できるので、この考えは理解しやすい。

それと、伝統的な中国医学の治療法に、「砭(ぼう)」「針」「灸」「薬」の4種類があり、それぞれに優先順位が付いているのが面白い。なお、「砭」は「刮痧(かっさ)」とも言い「マッサージ」を指す。

つまり、最初にマッサージ、それから針治療、次にお灸、そして最後に薬、というわけだ。自分はIT関係の仕事してることもあって始終パソコン触っており、昔からマッサージのお世話になってるので、この考え方は実感できる。我々は、すぐ何でも「薬」に頼ろうとする西洋医学の考えに、少し疑問を持った方が良い。

さて、昨今はジョギングする人が増え、にわかに健康ブームが到来してる。
「コミュニケーション」「体験のシェア」目的や、将来(老後)へ不安の表れなのかもしれないが、人々の健康への意識が高まっているのは確かと言える。

しかし、健康に生きる上で、一般に知られている西洋医学だけではどうしても限界がある、そのコトに大半の人は気付き始めているように思う。とは言え、本書で紹介してる東洋(中国)医学だけで良いというわけでもない。双方補完しあって、初めて自分が生まれたときから付き合っているこの「からだ」について、総合的な理解が出来るんじゃないだろうか?

人間の「からだ」は奥が深く、まだまだ知らないことばかり。
けど、1つ1つ学んでいくことはすごく面白い!!
その思いを改めて認識できたことが、この本読んだ一番の収穫かもしれない。

「からだ」の扱い方について、この「東洋医学」の初歩の知識をベースに今後もっと経験を通して理解度上げていこうと思う。その上で、早寝早起き、適度な運動(ジョギングとか)や、バランスの良い食事、サプリメントを使った栄養補給、本書で紹介されてた「ツボ押し」健康法や、インドの「ヨガ」なんかも取り入れつつ、自分なりの健康法を編み出してみようかなー、と思うところ。

健康に少しでも関心ある人であれば、この本は読んでおいた方が良いです。

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