「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

酒井穣さんの新書。

酒井さんの本は、今まで何冊か読んでいて、その流れで本書も購入。特に内容は気にせずに著者名で買ったので、改めて読む段階になって「なるほど、これは人材育成に関する本だったのか」と気づいた次第(笑)

ターゲットとしては、会社の人事部に居る人達。
ただし、この職種の人が一番タメになるとは思うが、内容を読むとどんな職種の人にでも使えるコトが書いてある。そもそも人材育成は人事だけがする事じゃないし、自分の部下だけを育てればいいわけではない。子供は家族だけじゃなく社会全体で育てるように、会社の人材も担当者(部署)だけじゃなく会社組織で育てる必要がある。

で、本書の構成はかなりわかりやすい。
以下の目次を読んでもらえば分かる通り、「why⇒whom⇒when⇒how⇒who⇒具体例⇒評価方法」という流れで話が進む。

第1章 何のために育てるのか(人材育成の目的)
第2章 誰を育てるのか(育成ターゲットの選定)
第3章 いつ育てるのか(タイミングを外さない育成)
第4章 どうやって育てるのか(育成プログラムの設計思想)
第5章 誰が育てるのか(人材育成の責任)
第6章 育成プログラムの具体例
第7章 教育効果を測定する

様々なフレームワークが紹介されており、ブログで簡単にまとめきるのは難しい。なので、興味ある方は実際に本書を読んでみればよい。新書で777円だし、200Pほどなので結構すぐに読める。

どのフレームワークを活用するかは、読んだ人次第。

私が使えそうだと思ったのが、「Will(やる気)-Skill(スキル) Matrix」。この四象限図に、正規分布のような「関与の度合い(コーチング)」と「指示の度合い(アドバイス)」の図(状況対応リーダーシップ・モデル)を重ねることで、これらの人材にどうかかわれば良いかが見えてくる・・とのこと。

「Cクラス(Will:低、Skill:低)」⇒「スキル不足 Bクラス(Will:高、Skill:低)」⇒「やる気不足 Bクラス(Will:低、Skill:高)」⇒「A クラス(Will:高、Skill:高)」と人材が成長していく過程が面白い。

また、「規律」と「動機づけ」の2軸の四象限図も面白い。「規律:低」+「動機づけ:高」=「仲良しサークル」というのがすごく実感。前会社の取引先はまさにこのタイプだった。モチベーションは高かったが、どこか大学のサークルのような会社だったので(‥上場してなかったのも1つの理由だろうけどね)。。

他にも様々なフレームワークが紹介されている。
しかし、フレームワークも大事だが、何より大事なのは実践。

そういう意味では、この本読んだだけではダメで実践できないと意味がない。しかし、一番難しいのがこの実践。ビジネススクールやセミナーなどに通っていれば(あるいは会社で開催していれば)試す機会もあるだろうけど、会社の中で実践しようとしても、何から手をつけて良いか、正直本読んだだけではわからない。

以前、「ザ・ファシリテーター」を読んだときにも思ったが、実践への最初の一歩目のハードルがかなり高い気がする。「何がわからないかがわからない」という状態。本書でも縦軸「経験」「座学」、横軸「受身」「自発」の四象限図の分類分けが載っており、「自発の座学」と「受身の経験」のどちらがすぐれているかはわからないと書いてあった。

自分の経験に照らしてみても、どちらが優れているかは判断つかないが、「受身」であろうがなかろうが「経験している」ということが圧倒的な強みであるのは間違いない。

経験していれば、他の人を教え導く役割もこなせる可能性が高いように思う。

そう考えると、ファシリテーターのような潤滑油的な人がいるかどうかって、実践する上でほんと重要だよなー。このあたり、今後の課題かな。。外部から人を雇うってのが一番近道なんだけどね。。

会社の人事の人もこの本読んだって言ってたから、どう実践するのか、協力できるところはして、もちろん自分自身もその恩恵に預かって、自己成長にうまく活用したいものである。

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト」に2件のコメント
  1. 酒井穣
    2010/02/08

    こんにちは。酒井です。拙著のお買い上げ、ありがとうございました。また、嬉しい書評をありがとうございます。

    実践が難しいという点、おっしゃるとおりですね。何を実践するにせよ、背後には「意図」が必要で、ビジネス書に提供できるのは、その方向性までであるという部分は、どうしても超えられない壁ではないかと思います。

    今後とも、よろしくお願いします!

  2. yone
    2010/02/08

    いつもコメントありがとうございます。

    ブログ投稿したらすぐにコメント頂けるにつれ、酒井さんの情報収集力のレベルの高さを感じます(笑)

    また著書を出されたら、拝見させていただきます。

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