考現学入門

今和次郎(こん わじろう)さんの著書。

この本自体は1987年に出版されたものだが、著者の今和次郎さんは1888年生まれの方で、この「考現学(こうげんがく)」も1927年(昭和2年)に提唱されている。

そもそも「考現学」とは何?という疑問から手に取った本。

きっかけは、podcastで良く聞いてるTBSラジオ「文科系トークラジオ life」で、どのテーマの話のときだったか忘れたが、メインパーソナリティのチャーリーこと社会学者の鈴木謙介氏が誰かと交わした会話、「人間観察が趣味なんです」「いや、それは「考現学」という学問があるんだけどね。今和次郎という人が…」という会話を聞いたこと。

早速ネットで調べてみて、興味持ったのでAmazonで即購入。
読んでみると、かなり興味深い本だった。

で、早速だが、結局「考現学」とは何か?というと、本の中で述べられている、以下に集約されているように思う。

このようにわれわれの考現学は、時間的には考古学と対立し、空間的には民俗学と対立するものであって、もっぱら現代の文化人の生活を対象として研究せんとするものである。

「考現学」は今和次郎さんの造語。
上記からも分かる通り、「考古学」と対比させた言葉だ。

なるほど、この定義に従うと、「人間観察」はまさに「考現学」の一部だなと思う。もっとも、「考現学」という言葉がどこまで一般的なのかはわからないけど。。
Googleキーワードツールで調べてみると、月間検索ボリュームは「1,300」なのでそれなりに検索されてる。(このツールの精度はかなり怪しいけどね(笑))

そして、本書でも著者が述べられていたが、「考現学」は「社会学」の一部だ。社会学者の鈴木謙介氏が知ってるのも納得。そして、マーケティング的な観点でいうと、この考現学は「マーケティングリサーチ」ということになる。社会学ではマーケティングリサーチと同じように、「社会調査」を行うことが必須と聞く。現在の社会を研究対象としてるわけだから、まぁ当たり前か。

ただし、この「考現学」の調査は、リサーチ会社が行うような(事業として)何か目的を持って行う調査ではなくて、目に映る「人間の行動、住居、衣服、その他」に関する全てを徹底的に記録するもの、という印象を受けた。(「人間の行動」も研究対象なので、現代で言えば多少ストーカー的な行為も行うことになる(笑))

それはこの本の構成からもわかる。
まずは以下の目次を見てもらいたい。

ブリキ屋の仕事
路傍採集
焼トタンの家
東京銀座街風俗記録
本所深川貧民窟付近風俗採集
郊外風俗雑景
下宿住み学生持物調べ
新家庭の品物調査
井の頭公園春のピクニック
井の頭公園自殺場所分布図
郊外住居工芸
宿屋の室内・食事一切調べ二つ
カケ茶碗多数
洋服の破れる個所
露店大道商人の人寄せ人だかり
女の頭
学生ハイカラ調べ
住居内の交通図
机面の研究
レビュー試験場はさまざまである
物品交換所調べ
考現学とは何か
考現学総論
「考現学」が破門のもと

最初の「ブリキ屋の仕事」〜「物品交換所調べ」まで、本書の8〜9割は、著者が実際に調べあげた記録の数々である。この記録が、ほんとに1つ1つ細かくて、徹底的に調べてあるのだ。

そして、残りの2章、「考現学とは何か」で考現学について、「考現学総論」で何故考現学が生まれたかを説明されている。

なので、自分の目的としては「考現学とは何か」の章を読めば十分。
実際に、記録部分は全部は読んでない。

この記録部分は、また別の機会に昔の風俗(エロイ意味ではなく)を知りたいな、とか思ったときに改めて読み返してみようと思う。

「考現学」という一つのジャンルが存在することがわかったことが、本書を読んだ一番大きな収穫。私も、喫茶店とかの窓越しに人の行動をたまに観察したりするので、同じようなコトをこんな昔からやってた人が居て、一つの学問まで昇華させてたってことが、なんとなく嬉しかった。

今のところ「考現学入門」にコメントは無し

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