published by よねさん

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)
すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

小幡績さんの著書。

「すべての経済はバブルにつながる」という挑戦的なタイトル。

そもそも「バブル」とは何か?何故サブプライムローン問題が起こったのか?
それを著者が非常にわかりやすい簡潔な文章で述べている。

目から鱗だったのが、「バブル」は避けられないということ。避けられないというか、心理的に「参加しないと損」というべきか。。そして、世界の投資のプロ達は、「バブル」を予測できなくて結果的に破産したのではなく、完全に予想をした上で、「バブル」だからこそ投資を行っていた。皆が合理的に振る舞った結果バブルが起こった。「合成の誤謬」というか。つまり「全て納得付くでチキンレースをやっていた」だけで、破産した人は「チキンレースに負けただけ」という事実。

いやー、ほんとびっくり…というか、言われてしまうと、「そりゃそうだよな」と納得するしかない。小幡さんの本質のみを暴き出す簡潔な文章に驚きです。

さて、面白かったのが「証券化」の話。

「証券化」とはそもそも何か?
証券化=リスクを変質させること、と著者は言う。

そして、以下3つのプロセスを説明している。
①リスクの小口化
 サブプライムローン債権の証券化の魅力
②リスクを除去するプロセス
 優良部分の抽出
③リスクを純化するプロセス
 統計的分散化メリットの追求

投資家の一番のリスクは、投資対象の値が下がることではなくて、「売りたいときに売れない」とのこと。これも目から鱗。

証券化を行うことで、売買の間口が広がる。実は本質的には「証券化」したところで何も実体は変わらない。しかし、小口化して優良部分のみ選び、それを一緒の鍋に入れて一つのスープを作る。そこそこ美味しいスープを。そして、そのスープは評価される。「トリプルA」というブランド力が付いて。

統計的分散化とは、「平均と分散」という統計の基本的な考え。平均値が良くても実はあまり関係無い。腐った素材が1つ混じってるだけで普通はNGと判断される。どれだけ分散が少ないか、「標準偏差」の値が低いかが重要。つまり、スープ作るときに腐った素材使うのはもちろんダメ、また美味しすぎる素材も逆にダメ。高くなるので。平均に出来るだけ近づけた素材のみを集めることで、皆が買いやすい味と値段になる。実体は何も変わっていないのだけど、「買いやすい味と値段」という付加価値が付く。これが「証券化」の本質。

うーーん、面白いな〜。
金融経済の本質をちょっとだけ垣間見た気がする。

「資本主義」についてもこの本で述べられている。
これも簡単。「資本主義」=「ねずみ講」とのこと。

「ねずみ講」は簡単な仕組みで、新しく入会した人のお金が、紹介した人に入ってくるシステム。儲けるには「新しく参加する人」の存在が不可欠。たしかに金融資本主義ってだけじゃなく、実体経済の資本主義も同じか。。企業にお金を注入してくれる新しいプレイヤー(消費者にしろ投資家にしろ)の存在が無いと、企業は発展していかない。

著者の造語で「キャンサーキャピタリズム(癌化した資本主義)」と呼んでいるが、たしかに癌細胞並みの自己増殖機能があるように思える。ちょっと恐ろしい。

しかし、この増殖の一番の大元は「人間の欲望」じゃないのか?
「今よりもより良く、さらに儲けようという気持ち」
それ自体が悪いとは思わないけど、結局「欲望」をコントロールする、道徳感や倫理観などの、哲学的な要素を経済にも適用しないとトータルバランス取れないってことかもね。

いずれにせよ、自分は今株式投資は行っていないが、この本読んで「チキンレース」に参加する気がさらに無くなった(笑)

何度も目から鱗が落ちた、ほんと素晴らしい本。必読。

以下は目次。

第1章 証券化の本質
第2章 リスクテイクバブルとは何か
第3章 リスクテイクバブルのメカニズム
第4章 バブルの実態—上海発世界同時株安
第5章 バブル崩壊1—サブプライムショック
第6章 バブル崩壊2—世界同時暴落スパイラル
第7章 バブルの本質
第8章 キャンサーキャピタリズムの発現—二一世紀型バブルの恐怖

今のところ「すべての経済はバブルに通じる」にコメントは無し

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