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名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

中野京子さんの著書。

以前、何かの本で読んだのだが、西洋文化を知る上で、前提として知るべきことが3つあるとのこと。

1つ目は「キリスト教
2つ目は「ギリシャ神話

そして、3つ目が「ハプスブルグ家

事実、以前ヨーロッパ(チェコ)に旅行行ったとき、まずキリスト教について学ぼうと思い本を読んだ。その時読んだ本も、この本と似たような「アートバイブル」という、名画を通して旧約/新約聖書を学ぶ本。そして、そこで得た知識があったからこそ、旅行先で絵画を観る際にある程度の文脈が理解できて、大変役立った経験がある。

なので、本屋でこの本を見た時に、「なるほど、これは良い本だ」と2匹目のドジョウを捕まえる意味で手に取った本。

結果、大変面白かった。やっぱり絵をベースに歴史を知るのは頭に入りやすい。関心を保ちやすいというか。。思えば学生のとき日本史好きだったが、「孔雀王」「華の慶次」「天上の虹 持統天皇物語」「おーい竜馬」などなど、漫画を入り口として興味持った人物や出来事を媒介にして好きになったように思う。あと、ゲームとね。。

さて、ハプスブルグ家だが、最初スイスの豪小からスタートしたというのが驚き。その田舎貴族が、棚ぼた式に神聖ローマ皇帝「ルドルフ一世」として戴冠したのが「ハプスブルグ朝」の始まりとのこと。

そもそもハプスブルグ家というか、西洋の歴史を学ぶ上で「神聖ローマ帝国」の理解は必須だが、学生時代に世界史取ってなかった自分としては、そもそもこれがよくわかってない。まぁ、「神聖」というくらいなので、キリスト教(カソリック)、もっと言えばローマ教皇(今の法王?)からお墨付きを得た帝国だというくらいは想像がつく。しかし、それがどれくらい権力を持つものなのかがよくわからない。

本読んでわかったが、どうやら当時あまり富や権力などの実権力とは無縁だった様子。ただし、古代ローマ帝国&カトリックの威光は心理的影響は大きかったらしい。要するにブランド力が高かったってことか。。

ルドルフ一世は、そのブランド+騎士道そっちのけでとにかく戦争に勝利することで、実権力の基礎を築いていった様子。まずはこの人が居たからこそ、650年もの王朝を気づけたのね、なるほど。。

そして、「戦争は他のものにまかせておくがいい、幸いなるかなオーストリアよ、汝は結婚すべし!」という家訓からも想像できるが、運なのか策略なのか今となっては不明だけど、政略結婚で権力を拡大していく。まぁ、そのやり方はほんと露骨。これだけ近親相姦を繰り返すと、血が強くなりすぎて、多様性が無くなり生命力が弱い子供達が生まれてくるのも納得できる。

ハプスブルグ家は「スペイン・ハプスブルグ家」と「オーストリア・ハプスブルグ家」の2系統に別れてたのか。これも今さらだけど初めて知った。有名なマリー・アントワネットは「オーストリア・ハプスブルグ家」の系統になるわけね。。ふむふむ。

勢力を発展させた「マクシミリアン一世」、その息子「フィリップ美公」と嫁「狂女フアナ」。

スペイン系列で挙げると、フィリップとフアナの息子「カール五世(カルロス一世)」とその息子「フェリペ二世」、その嫁のイングランド女王「ブラッディ・メアリー」、そして次のイングランド女王「エリザベス一世」、ぼんくら息子の「フェリペ三世」、芸術的な素養だけはあった「フェリペ四世」、ベラスケスの有名な『ラス・メニーナス』に描かれているその娘「マルガリータ」、異母兄弟のフランスルイ十四世と結婚した「マリア・テレサ(マリー・テレーズ)」、そしてフェリペ四世の息子「カルロス二世」の代でスペイン・ハプスブルグ家はちょうどカール五世の生誕から200年で終焉を向かえ、フランスへスペイン利権を手渡すことになってしまう。

オーストリア系列で挙げると、隠れプロテスタントの「マクシミリアン二世」とその息子である奇人「ルドルフ二世」(この頃にカトリックVSプロテスタントの30年戦争が勃発)、女帝「マリア・テレジア」とその天敵プロイセン(ドイツ)の「フリードリヒ大王」、そしてマリア・テレジアの娘、凡庸なルイ16世と結婚した、言わずと知れた「マリー・アントワネット」、そしてマリア・テレジアの孫「フランツ二世」の代で、フランスにより神聖ローマ帝国皇帝の地位を剥奪され、神聖ローマ帝国はここに終焉。

しかし、ハプスブルグ家の血はまだしばらく続き、「フランツ二世」の娘、自らを追い落としたナポレオンの妻となった「マリー・ルイーズ」、その息子「ライヒシュタット公」、ライヒシュタット公と恋仲であった「ゾフィ大公妃」、その息子「フランツ・ヨーゼフ」、そしてその嫁となる美女「エリザベート(シシィ)」。そして、フランツ・ヨーゼフが後継者として指名していた甥「フランツ・フェルディナント」は、1914年セルビア人に暗殺され、これを機に第一次世界大戦へ突入していく。フランツ・ヨーゼフが事実上ハプスブルグ帝国最後の皇帝。

ここにハプスブルグ家の歴史は幕を閉じる。

さて、一通り書き出してみたが、役者/くせ者ぞろいで、何ともドラマを作りやすい。これだけ魅力的な人物ばかりがいれば、この系譜を理解しないと西洋の文化を理解出来ないのも頷ける。そりゃ、物語化しやすいわ。様々な演劇やら絵画やらの題材になっただろうことは想像に堅くない。

ほんとに魅力的。強大で垂れ下がった鷲鼻と、出っ張った下顎というハプスブルグ家特有の特徴もわかりやすい。

昔ウィーンに旅行に行ったとき、シェーンブルン宮殿というハプスブルグ家所縁の宮殿を観たが、当時もっとこの知識があれば楽しめたのに。。まぁ、次に行くときの楽しみに取っておこう。

とりあえずの基礎を学ぶ上では大変良い本だった。
これを機に、もっと色んな本や作品を観て、縦軸/横軸を強化して行こうと思う。

こちらは本に載ってた家系図をまとめた図。


以下は目次。
(各絵画は、画像のリンクもつけてます)

アルブレヒト・デューラー『マクシミリアン一世
フランシスコ・プラディーリャ『狂女フアナ
ティツィアーノ・ヴィチェリオ『カール五世騎馬像
ティツィアーノ・ヴィチェリオ『軍服姿のフェリペ皇太子
エル・グレコ『オルガス伯の埋葬
ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス
ジュゼッペ・アルチンボルド『ウェルトゥムヌスとしてのルドルフ二世』
アドルフ・メンツェル『フリードリヒ大王のフルート・コンサート
エリザベート・ヴィジェ=ルブラン『マリー・アントワネットと子どもたち
トーマス・ローレンス『ローマ王(ライヒシュタット公)
フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター『エリザベート皇后』
エドゥアール・マネ『マクシミリアンの処刑

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