published by よねさん

4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書)
4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書)

杉山茂樹さんの著書。

氏はフリーのスポーツライター。
25年以上もサッカーを取材し続けている氏のサッカーを観る視点を学べる。

学生時代ずっとサッカーをしていた自分としては、こういうサッカー戦術の入門書のような本をぜひ読みたかった!!

「フォーメーション」という切り口でサッカー戦術を理解することを目的に手にした本。

目次は以下の通り。

はじめに
サッカーは布陣でするものか、否か
番狂わせは、弱者の工夫なしには生まれない
4列表記の誕生
アリゴ・サッキの「プレッシングフットボール」
ブラジルがドイツワールドカップで負けた理由
攻撃サッカーのルーツ、オランダ
ファンタジスタは布陣を嫌う
サッカーは布陣でするもの、ではない?
そのとき、ジダンは後悔したか?
4—2—3—1か、3—4—1—2か
トルシエはなにがしたかったのか?
ヒディンクコリア
日本代表、空白の8年間
布陣が選手を育てる
敗戦からなにを学ぶべきか
名勝負の裏に采配あり
ジャイアントキリング
負けるべきして負けたジーコジャパン
オシムが目指したサッカー
あとがき

読み終わってすぐの感想…今すぐサッカーを観に行きたい!!

この布陣を意識して試合を観るという観戦方法を、今すぐにでも試してみたくなる。
それくらいこの本は面白い!!!

生で観戦できないならばテレビでも…と思っていたらば、何と現在ちょうど都合が良いことに、ヨーロッパで「EURO2008」が行われている。
今は時間を自由に使えることもあり、WOWOWにも勢いで入り、毎朝早い時間から出来るだけ全試合を観ている。

これが凄く面白い!!

選手交代で布陣がコロコロ変わり、より攻撃的になったり守備重視になったり、監督が意図していることがわかるようになった。
今まで意識したことの無い新しいサッカーの観戦方法。

大げさだが、新しい地平が開けた、と言ってよい。

監督目線でサッカーを観る
これが、まさにこの本のテーマだろう。。

サッカーのフォーメーションの歴史も少し紐解いている。

74年W杯でのクライフ率いるオランダが体現した「トータルフットボール」。
90年代前半のイタリア「ACミラン」全盛だった時代、監督だったアリゴ・サッキが提唱した高い位置からプレスをかける「プレッシングフットボール」。これは「トータルフットボール」の焼き直しだったらしい。
当時サッカーをやっていたのでセリエAの試合はよく観ていたが、ミランはほんとに強かった。その強さの源を数年経ってやっと理解できた。
そして、その攻撃的サッカーから、守備的布陣「3-4-1-2」に一度揺り戻しがあり、その後また攻撃的なオランダ型の布陣へ徐々にヨーロッパのチームは移行し、現在「3-4-1-2」の布陣を見る事がほぼ無くなったとのこと。たしかに。。

また、サイド攻撃の重要性も説く。

得点シーンは、セットプレイやロングシュートから生まれることも多いが、やはり速い展開からのパス回しでバイタルエリアまで繋いで行き、DFが対応できないうちにフィニッシュを決めてしまうケースが圧倒的に多い。その際重要となるのが、左右サイドでのアタック。ここに何枚人数をかけているかで得点力が異なると杉山さんは言っている。

日韓W杯のトルシエジャパン時代敷いていた布陣「3-4-1-2」と、かたやヒディンクコリアが敷いていた「4-2-3-1」を比較しながら、その善し悪しも分析している。なるほど、ヒディンクコリアがいかに攻撃的布陣だったかがよくわかる。

「3-4-1-2」は攻撃の3人が真ん中に寄ってしまっており、3列目4人の左右1人ずつだけで左右サイドを全てカバーするのはかなり無理がある。結果、相手に攻めこまれる時間が増え、自陣エリア側の左右で守備のみに注力する結果となってしまうということか。。

2002年の日韓W杯で、韓国は準々決勝のイタリア戦、不可思議な審判の判定で散々騒がれてしまったが、攻撃的サッカーを体現していたことは間違いなく、だからこそ準決勝へ進出できたのだろう。

ヒディンクを採用して韓国サッカーは大成功を収めたわけだ。

さて、翻って日本サッカー界。
およそ戦術を考えていたとは思えないジーコジャパンでドイツW杯に惨敗した後、戦略家オシム監督が招聘されたが、脳梗塞で倒れられ、代表監督を辞任。日本サッカーにやっと戦略が根付くかと思われたが、そのチャンスを失ってしまった。。オシムにとっても日本サッカーにとっても不幸な出来事。。

代わりに再び監督となった岡田氏だが、この本でも杉山さんが危惧されている通り、正直代表チームが強くなっているとは到底思えない。。

日本人監督が全員ダメとは言わないが、戦略/戦術では一日の長がある、ヨーロッパの監督の方が「日本に戦略を根付かせる」という意味では良いと思う。

本で紹介されているが、元々サッカーの戦略/戦術は、フィジカルでは南米に敵わないヨーロッパで、劣ったフィジカル面を頭でカバーするために生まれ、発展したものらしい。。

であれば、日本がどちらを参考にすれば良いかは言うまでもない。
日本人のフィジカル面の弱さは今後変わることはまずあり得ない。ならば、頭を使い、徹底的に戦略を練ることでカバーしていくしかない。

今後日本でサッカーが発展していくか、否か?
それは戦略的なサッカーが根付くかどうかにかかっている。

これは真理だと思うが、政治の面では、良い国民が良い政治家を生む。
政治家がバカなのは、イコール、選んだ国民がバカなのだ。

サッカーも同じ。
強い代表チームを創るには、良い応援者(観客)が必要。
その観客側に、フォーメーションという戦術を入り口として戦略を根付かせるには、この本は文句無く、最適な入門書。

サッカーを愛する人は、絶対に絶対に読んで欲しい。

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