若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか

渡邉正裕さんの著作。

氏は、元々毎日新聞に勤めていたが、会社の風土が肌に合わず外資系コンサルに転職、現在は起業してジャーナリストとして活躍されている。

この本では、コンサル時代に培ったと思われる分析能力で、会社を選ぶ際の「指標」を非常に分かりやすく示してくれている。

目次は以下の通り。

はじめに
Introduction 22歳、27歳の迷える君たちへ
Part1 プロフェッショナルになりたいか−−仕事指標で選ぶ
Chapter1 転職力が身につくか
Chapter2 やりたい仕事ができるか
Chapter3 社員定着率は高いか
Chapter4 英語力を活かせるか
Part2 24時間働きますか?−−生活指標で選ぶ
Chapter5 働く時間に納得できるか
Chapter6 社員の人柄は自分に合っているか
Chapter7 社内の人間関係は心地よいか
Chapter8 女性は活用されているか
Part3 会社からいくらとれるか−−対価指標で選ぶ
Chapter9 報酬水準は高いか
Chapter10 福利厚生は手厚いか
Chapter11 評価に納得性はあるか
Chapter12 雇用は安定しているか
おわりに

章が非常に綺麗に別れており、目次を見ての通り、「仕事」「生活」「対価」という誰でも納得できる指標で、各業界の代表と言える有名企業を評価している。

登場する企業は誰でも知っているような企業ばかりなので、中小企業で働いている人はそのまま参考にはならないし、そもそも比較できない箇所は多々あると思うが、転職を考えている人が次に「どんな会社を選ぼうか?」という視点で見ると、得るものが非常に多い。

学生でこれから就職活動を始める人、既に始めている人は、絶対に読んでおいた方がよい。憧れている企業の実情がよくわかるだろう。

エージェント経由の情報や、「就職人気企業ランキング」などの情報は、広告費が豊富な企業に有利になるよう恣意的な結果になっている、という社会の一側面も理解できるはずだ。

自分は、今後の日本社会はますます「成果主義」が進むと考えている。
進まざるを得ない状況だと。

「成果主義」自体の是非についてはまた別の議論だと思うので多くは語らないが、氏が本の中でも言っているように、たかが18歳で入った大学名で22歳に就職する企業の方向性がほとんど決まってしまい、そのまま一生安泰が保障される今のシステムがおかしいのはたしか。
なので、自分としては「成果主義」万歳。どんどん導入して欲しい。

そして、「成果主義」だけではなく、両輪として進めて欲しいのが「再雇用制度の改革」。

自分は死ぬまで精進して行く覚悟は既に出来ているので、そういう人間にとって「成果主義」型社会は生きやすいのだが、日本の雇用市場は相変わらず流動性が低い。
人材を無駄する余裕は今の日本社会には無いはずなのに、相変わらず変化する兆しが見えない。

「成果主義」は良いのだが、どうしても弾かれる人が生まれてしまうので、そのケアだけは必要。
別に甘やかすためではなく、意欲がある人間が働けないのは、社会的に大きなロスだと思うからである。

そういった、働く「意味」を考える上でも、この本は役に立つ。

就職(転職)活動を行っている全ての人に、一読をお勧めする。

今のところ「若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか」にコメントは無し

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