3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

城繁幸さんの著作。

氏は「若者はなぜ3年で辞めるのか?」という本を出版されており、この本の続編として書かれた本(前編はまだ読んでないです。。)。

3年で辞めた若者がその後選んだ仕事を通して、氏が「昭和的価値観」と呼ぶ古い価値観がもはや限界を迎えており、「平成的価値観」という新しい価値観に上書きする必要性を説く。

目次は以下の通り。

第一章 キャリア編
「若者は、ただ上に従うこと」
「実力主義の会社は厳しく、 終身雇用は安定しているということ」
「仕事の目的とは、出世であること」
「IT業界は3Kであるということ」
「就職先は会社の名前で決めること」
「女性は家庭に入ること」
「言われたことは、何でもやること」
「学歴に頼ること」
「留学なんて意味がないということ」

第二章 独立編
「失敗を恐れること」
「公私混同はしないこと」
「盆暮れ正月以外、 お墓参りには行かないこと」
「酒は飲んでも飲まれないこと」
「フリーターは負け組みだということ」
「官僚は現状維持にしか興味がないということ」
「新卒以外は採らないこと」
「人生の大半を会社で過ごすこと」
「大学生は遊んでていてもいいということ」
「最近の若者は元気が無いということ」
「ニートは怠け者だということ」

第三章 新世代編
「新聞を読まない人間はバカであるということ」
「左翼は労働者の見方であるということ」

自分はこの本で書かれている新しい価値観である「多様性(多様な価値観を認める≒選択肢の多さ)」は、かなり早い時期から意識していたと思う。
大学を辞めた理由もここにある。既存の大学の閉塞感に嫌気が差したからなので。

そういう意味で、新しい価値観が普及し始めた今の時代は待ってました!という感じだが、非正規雇用前提の今の雇用システムは、昔では想像だにしなかった。もっとも、この本にも書いてある通り、正社員の給与も非正規雇用者の犠牲の上に維持されているので、同罪ではある。というか、個人的には職務給で全く問題ない。やった仕事の内容で給料はもらえればよくて、結果的に給料が下がっても構わない。若い連中に話を聞くと、やはり同じ考え。これも古い価値観との対立だろう。

この本で書かれていた学生のインターンシップ制度は、自分の学生時代と比較すると、非常に羨ましい。当時同じ制度があれば、間違いなく利用していただろうし、企業を判断する目ももっと早いうちから養うことが出来ただろう。

なので、現在その制度を利用して企業の内情を見た学生が、日本企業を嫌うのは当然。当たり前のこと。数年間社会で働いたが、新しい産業であるIT企業でさえも、古い価値観が土台まで染み付いている企業が多い。

非正規雇用の問題や格差問題以外にも問題は山積みな日本社会だが、氏の言う通り、鍵となるのは「いかに古い価値観を変えられるか」という一点に尽きるだろう。

現在の50代は確かに「勝ち逃げ」のためラストスパートを切っている。
それ自体はハラワタが煮えくり返る。マジでふざけんな!!!!!!

そして、その浪費したツケを我々の世代が負うことになるのは間違いない。

そこで1つ提案。
もう「負う」ことを覚悟してしまおう。

避けられないのは明白なので、ジタバタしても仕方無い。

ただし、借金」は押し付けられても、「価値観」まで押し付けられる必要は無い

成長ありきだった頃の昔の価値観は既に通用しない。
それすら気づいていない人間の言うことなど聞く必要は無い(温故知新は前提として)。

新しい価値観で現在の状況を乗り切るには、氏が発するもう一つのメッセージが役に立つ。

「ワガママに生きろ!!」

若者は社会に必要な存在なのだ。
それは我々「ロスジェネ」と呼ばれる(この呼び名も大嫌いだが。。)世代も同じ。
であれば、もっとワガママを言えば良い。
その行動を通して新しい価値観を浸透させ、その考えに適応出来ないだろう旧既得権者にはとっとと社会から退場して頂き、少しでもまともな働き方が出来るように社会を変えて行こう。

この本はその問題意識を持つ入門書としては最適。
分かりやすい構成になってるし。
値段も720円ほどだし、一食我慢すれば読める。

まずは本を読んでみよう。
そして、その先に何をやるか、自分で考えてみよう。

今のところ「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」にコメントは無し

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